プロメテウスの政治経済コラム

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パラグアイ日本人誘拐事件 解放の報道後、追跡報道は一切無し 背景に何が

2007-05-06 19:10:35 | 政治経済
事件発生当初、各マスコミが事件の関係者と統一教会の結びつきをどのように伝えたかを07・04・04付「情報流通促進計画byヤメ記者弁護士」のHP が検証している。事件があった場所は一般的に誘拐事件の多発地帯であること、統一教会関係者であることは一切伝えていないというのが、「世界日報」(統一教会の「機関紙」とも言われている)の立場であった。NHK、時事、産経は、世界日報路線(統一教会との関係に触れない)。統一教会色を薄れさせようとしているのが読売。毎日、朝日、東京は統一協会幹部であることをはっきり報じている。「こうしてみると、拉致問題やいわゆる従軍慰安婦問題、靖国問題などで勇ましそうなことを言っているところが、実際には『圧力』に弱いところだというのがよくわかるのではないでしょうか?」と検証結果は締め括くられている(同HP)。

統一協会の偽装組織「天宙平和連合」が昨年5月後半に国内12カ所で開いた大会に祝電を送った国会議員や知事は、判明分だけで54人にのぼる。安倍晋三・官房長官(福岡、広島両大会)、小坂憲次・文科相(長野)、長勢甚遠・官房副長官(名古屋)、鈴木政二・官房副長官(名古屋)、江崎鉄磨・国交副大臣(名古屋)、馳浩・文科副大臣(名古屋)、野上浩太郎・財務政務官(名古屋)、高木毅・防衛政務官(名古屋)、小林温・経産政務官(横浜)、中川秀直・自民党政調会長(広島)などである(役職はすべて当時)。霊感商法などの資金集め、詐欺的な信者勧誘、集団結婚への参加強要などの犯罪行為で知られる統一協会は、いわゆるカルト洗脳集団である(「しんぶん赤旗」2006年7月14日)。

誘拐された太田洪量「ビクトリア」社長は、長年、全国大学原理研究会(統一協会の学生組織)の会長を務め、日本統一協会最高幹部の一人である。「ビクトリア社」は一応土地管理会社の看板を立てているが、実態は統一協会のダミー。協会の所有地を管理している。統一協会のHPによると、パラグアイで所有している土地は千葉県の面積より広い60万ヘクタール。隣接するブラジル、ウルグアイでも大規模に所有している。
中南米での土地買い占めが表面化したのは一九九〇年代前半。なぜ中南米か。教祖文鮮明の朝鮮半島から見て地球の裏側に位置し、“神の国を建設する地”として重要視しているということらしい。土地買収とともに「宣教」や「ボランティア」と称する活動や、各国要人、宗教指導者らを招待する大規模イベントを中南米各地で開催している(「しんぶん赤旗」2007年5月2日)。

中南米の土地買収やイベント開催には、日本から、資金とともに買収工作や“開発”、運営の要員が多数送り込まれた。一般信者だけでなく、それを指揮する幹部も中南米に送り込まれた。今回、誘拐された太田洪量元原研(全国大学原理研究会)会長のほか、経済部門の責任者で霊感商法の元締め「ハッピーワールド」社長の古田元男、政治部門「国際勝共連合」理事長の梶栗玄太郎、文鮮明と一緒に米国ダンベリー刑務所に収監され、のちに日本統一協会会長にもなった神山威らの最高幹部も含まれていた。
統一協会の最大の資金源は日本。万物復帰(すべての物は本来神のものであり、神=文鮮明に復帰させることで救いが与えられる)という“教義”で信者を献金や霊感商法にかりたてて集めた資金である。これが中南米での土地買い占めの資金になり、今回犯人側に支払われた身代金にもなったのであろう(「しんぶん赤旗」同上)。
土地買収や拠点開発には地元との摩擦がつきものである。事件の背後関係に土地買占め問題があったと考えても、的外れではないであろう。解放後、首都アスンシオンの日本大使館で記者会見した太田さん、山口さん。会見は約10分で、「太田さんらの意向」を理由に、報道陣からの質問は受け付けなかったという(asahi.com 2007年04月22日18時38分)。

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