プロメテウスの政治経済コラム

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連休明けから重大局面を迎える国会情勢  軍事・強権国家へ邁進する安倍政権

2007-05-07 19:07:44 | 政治経済
改憲手続き法案の目的が可及的速やかに改憲を実現する準備であり、改憲の焦点が9条第二項(戦力とりわけ交戦権否認)にあることを安倍首相の一連の言動がはしなくも誰の目にも明らかにした。改憲・護憲中立の、国民主権実現のための国民投票法案というカムフラージュのウソを首相自らが暴露したのだ。法案提出者自身、最低投票率を設定しない問題や公務員・教育者の国民投票運動を制限している問題でその根拠を問われて答弁不能に陥っている。9条改憲を国民投票にかけて絶対に失敗は許されない。反民主的で不公正な内容といわれようが改憲案が出来る限り通りやすい投票法案でないと困るのだ。日の地方公聴会、8日の参考人質疑などを行ったうえで、公聴会でなんと言われようと参院選の前に、郵政選挙で得た議席のある間に強行突破するつもりである。
安倍首相は訪米の“手土産”として集団的自衛権行使容認に向けた有識者懇談会を発足、5月18日に初会合を開く予定である。九条の明文改憲まで待たず、すぐにでも海外でイラク型の戦争を想定しての米軍支援にどこまで踏み込めるか、その道を開くのが狙いである(「しんぶん赤旗」2007年4月30日)。

憲法9条を変え「海外で戦争をする国」づくりの流れの中に、在日米軍再編促進法案イラク特措法延長案がある。在日米軍再編はブッシュ米政権の先制攻撃戦略に基づく地球規模の米軍再編の一環としての在日基地の再編である。促進法案は、米軍のグアム基地強化の一環としての沖縄米海兵隊のグアム移転を口実に、米領での米軍基地建設費を日本側が負担し、沖縄及び本土の在日米軍再編への協力の度合いに応じて関係自治体に「再編交付金」を交付するものである。
イラク特措法延長案は、期限が切れる7月以降も航空自衛隊が敗北寸前のイラク米軍の支援を続けられるようにするものである。安倍首相は、訪米のあと湾岸産油国を中心に中東5カ国を訪問した。これを安倍流「資源外交」の一定成果などと評価するマスコミもあるが、中東の人々は、米軍のイラク占領に付き従う日本をもっと冷ややかに見ている。「今回の日本首相の訪問は、中東地域の利益に資するというよりは、日本の都合によるもの」「米国の方針に従うことによって、日本は自分の利益を求めようとしている」(エジプト・アルアハラム政治戦略研究所のアムル・ハシム・ラビエ研究員―「しんぶん赤旗」5月2日)。

軍事国家への暴走と同時に、安倍政権が国民の自由と人権を踏みにじる法案を強行しようとしているのは重大である。教育三法案(学校教育法、地方教育行政法、教員免許法各改定案)は、改悪教育基本法による教育統制を具体化するものである。義務教育の目的に「国と郷土を愛する態度」など多くの徳目を盛り込み、学校・教員に事細かな指示を行えるようにするとともに、教育の新自由主義改革を上から下へ徹底することを狙っている。教育委員会に対する文部科学省の権限を強化。憲法の保障する思想・良心の自由、教育の自主性・自律性を法律によって強権的に奪い、国家政策に従属させる。
こうした国の権限強化の流れは、警察による調査権限を強化する少年法改悪案にも現われている。安倍政権は、今国会に放送局への公権力の介入を一段と強める放送法改定案を提出した。現在のマスコミ界がどんなにだらしないものであっても、それを公権力によって糺すことは許されない。それが国家と民間との関係である。
また、話し合っただけで犯罪となる「共謀罪」を創設する組織犯罪処罰法改悪案(共謀罪法案)も衆院で継続審議になっている(「しんぶん赤旗」4月30日)。

支配階級主流派は、アジア市場での日本多国籍企業の覇権(米国が許す範囲であるが)を目指して、軍事大国化と構造改革推進を安倍・自公政権に求めている。同時に自ら壊してしまった従来の企業社会・自民党政治による社会統合の破綻に対処する方策を模索している。安倍の改憲・強権国家への暴走により多くの国民が目覚め、たたかいに立ち上がることが彼らのシナリオをくるわせることになる。危機はチャンスでもあるのだ。

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