プロメテウスの政治経済コラム

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沖縄知事、県民大会不参加を表明 レイプが親告罪であることを悪用する醜い大人たち

2008-03-22 20:18:52 | 政治経済
仲井真弘多沖縄県知事は21日夜、23日に開かれる「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」への不参加を表明した。県議会の仲里利信議長も同日、大会出席を見送る考えを明らかにした(沖縄タイムス2008年3月22日)。理由は被害者が告訴を取り下げたことを口実に、自民党県連が組織的参加を見送ったことで、超党派の結集が実現しなかったからという。「(被害者を)そっとしてあげたい」などともっともらしいことをいう卑屈で醜い大人たち。米兵の少女に対するレイプという人間の尊厳を踏みにじる重大犯罪の背景に、「思いやり予算」まで出して米軍に迎合する日本政府の卑屈な態度があることは明白だ。

レイプは、性的行為という自己決定の自由がもっとも尊重されなければならない=人格の尊厳を暴力や脅迫で蹂躙する重大犯罪である男性と女性が対等の人格として尊重される関係においては起こりえない犯罪である
米軍人は“占領地”沖縄の女性の人格が自分と対等だなどとは決して思っていない。いやがる女生徒を追いかけ、車に連れ込み暴行をはたらくなど、アメリカ国内なら大問題である。沖縄だからかまわないという意識があるからこそ、こうした暴行事件がくりかえされるのだ。さらに、海兵隊員は戦争のさいの“殴り込み部隊”で、アフガニスタンやイラクなどの戦場にいつ送り込まれるか分からない。まともな人権感覚をはじめから持たされていないのだ。

強姦罪は個人の人格の尊厳・自由を暴力で蹂躙する重大犯罪である。ところが、男性優位の社会的意識のなかで、被害者が逆にバッシングに遭うことがしばしばである。「スキがあった」「挑発的」「油断して」「ついてゆくのが悪い」などと批判される。例えとしてよく言われように、強盗について、被害者が大金を持って歩いていて、襲われたといって「それは持ち歩いた被害者の落ち度であるから」と行って加害者を免罪するようなことが、果たしてあるだろうか。ところが強姦被害者は法廷で、女性がいかに自分に落ち度があり、いかに自分がふしだらで、いかに自分が曖昧な態度をとったかということを決めつけられてしまう。それがわかっているからこそ、告訴をためらうことがしばしばなのだ(いわゆるセカンドレイプ)。

このようななかで、沖縄の被害少女も告訴を取り下げた。日本では、男性優位の社会的意識を悪用して強姦罪は親告罪とされている。親告罪とは、告訴がなければ公訴を提起することができない犯罪のことである。告訴を欠く公訴は、訴訟条件を欠くものとして判決で公訴棄却とされる。実体審理に入れないから加害者を有罪にすることも出来ない。

23日に沖縄県北谷町で開催する「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」を呼びかけている県内の市民団体は3月3日、沖縄県庁で記者会見し、超党派による県民大会の開催を呼びかける「参加アピール」文を発表した。
アピール文は、女子中学生暴行事件が、被害少女の告訴取り下げで米兵が釈放されたことについて「被害者には一点の瑕疵がないにもかかわらず、被害者につらい思いをさせ、支えることができなかったことを、私たちは厳しく受け止めなければなりません」と述べたうえで、「私たちは、被害者の人権を守るとともに、県民のいのちと暮らしを守り、米兵によるこれ以上の犠牲者を出さないために、超党派による県民大会を開催し、県民の総意を早急に明らかにしなければなりません」と訴えた。
しかし、沖縄県知事も議会議長も、アメリカに毅然とした態度がとれない中央政府に迎合して不参加を決めた。契機となった事件の被害者と家族をそっとしておくという体のいい言い訳で、セカンドレイプした。
告訴を取り下げなければならない、声を出せない少女に代わって抗議の声をあげることこそ私たち大人の責任なのだ。

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