プロメテウスの政治経済コラム

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三井住友銀に行政処分 西川日本郵政㈱社長は速やかに辞任を

2006-04-28 18:54:15 | 政治経済
金融庁は27日、三井住友銀行に対し、優越的な地位を乱用して融資先の中小企業に金融派生商品の購入を強要していた事例が多数発覚したとして、業務の一部停止を含む行政処分を行いました。西川善文前頭取などの前経営陣の責任も明確にするよう求めました。さらに、法令順守体制の確立などを柱とする業務改善命令も発動しました。

処分は<1>全国に約200か所ある法人営業部による金融派生商品の販売の6か月間停止<2>法人営業部の新設の1年間禁止―が主な柱です。銀行が独禁法違反で業務停止命令を受けたのは初めてのことです。

三井住友銀行は、投機的な金融商品である金利スワップを、同銀行に融資を頼らざるをえない業者に強制販売しました。損失の大きさに気付いた業者らが解約を申し出ても、「貸付金の回収」や「担保物件を競売にかける」などの脅しをかけ、契約を続けさせました。まさに、独占禁止法が禁止する優越的地位の乱用そのものです。

関東のある中小企業経営者は告発します。「当時の頭取、西川善文氏が各支店長に過大なノルマをかけ、利益のためならなんでもやるという指導方針が今回の事件の原因ではないのか。(その)張本人が、郵政民営化の新会社『日本郵政株式会社』の初代社長になる・・・。(就任は)私のような何千人の被害者、犠牲者の上の栄転でしょう」(「赤旗」06.4.20)
西川氏は、三井住友銀頭取時代、強烈な収益追求型経営を推進してきた人物。 1997年から務めた旧住友銀頭取時代には、旧さくら銀行との経営統合や不良債権処理にあたり、労働者減らし・リストラでも“剛腕”をふるってきました。昨年11月の社長内定時の会見で「リスクが取れるか取れないかが、民営化会社と公社との違いだ。リスクをとって成功したものが利益を得る」と述べていました。

西川頭取のもと、経費削減のための過剰な店舗統廃合によって、利用者が支店で用事を済ませるのに、何時間も待たされるという、顧客無視の経営が行われてきました。支店に過大なノルマを課し、利益のためなら何でもやる―その結果は、中小企業などへのリスクの高い金融商品の強引な販売となって表れ、昨年12月に公正取引委員会から排除勧告を受けていました。

郵政民営化で発足する持ち株会社「日本郵政」の経営トップに、全国銀行協会の前会長である西川・三井住友銀行前頭取を指名するにあたっては、小泉「改革」をリードしてきた財界首脳ですら、銀行関係者の就任はあまりにも露骨だと考えていました。郵政民営化は、郵便貯金をライバル視し、民営化でビジネスチャンスの拡大を狙う大銀行の年来の要求であったからです。それにもかかわらず、よりによって巨大銀行の前頭取の西川氏を指名したのは、西川氏と親しかった竹中―小泉ラインでした。

三井住友銀行に厳しい処分が下され、「収益獲得優先が常態化」していたとして、当時の頭取であった西川氏らの責任の明確化が求められているいま、西川・日本郵政㈱社長は速やかに辞職すべきです。西川氏を初代社長に指名した竹中―小泉ラインの責任も問われなければなりません。
また、三井住友銀行は徹底した社内処分とともに、被害者救済に誠実に対応すべきです(日本共産党・大門実紀史参院議員「赤旗」06.4.28)。


▼金利スワップ 変動金利で融資を受けた借り手が、一定契約期間内に利払いを固定金利に変換できる金融商品。架空の元本(想定元本)を設定し、変動金利が固定金利を下回る場合、差額金利は顧客負担となります。例えばA社が想定元本5億円(借入金残高と無関係に設定される)、期間6年、固定金利2%、変動金利=タイボー(TIBOR、銀行間取引東京市場金利6ヶ月物)のスワップ契約を銀行と結んだとします。変動金利が2%以上に上がればA社は差額を受け取れますが、低金利が続き、変動金利が固定金利より低いとA社はその差額を6年間にわたって銀行に払うことになります。


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