プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

国民には「痛み」 米軍強化に「贈与」

2006-04-27 17:48:34 | 政治経済
在日米軍再編の米側実務責任者であるローレス国防副次官は25日、国防総省で記者会見し、在日米軍再編計画で日本側の経費負担が260億ドル(約3兆円)以上にのぼることを明らかにしました。米側当局者が再編経費全体の規模に言及したのは初めてです。ローレス副次官は、(1)沖縄での新基地建設費をはじめ日本国内の再編に約200億ドル(2)沖縄の米海兵隊のグアム移転に約60億ドル―がそれぞれかかると説明。「(これらの)全額を負担するのが日本政府の責任」であり、「日米同盟における日本政府の巨大な投資だ」と強調しました。しかし、見返りのない「投資」は投資ではなく、贈与、寄附です。

ローレス副次官は、一方で、米側の負担額はグアム移転費の一部である約四十億ドルのみであることを明らかにしました。さらに、日本側の負担額は「控え目な見積もり」だとも述べ、さらに膨らむ可能性も示唆しました。国民一人当たりにすれば約二・五万円、四人家族で約十万円もの負担になります(「赤旗」06.4.27鎌塚由美記者)。

すでに日本国民は、「思いやり予算」や基地周辺対策費など、在日米軍の駐留のために年間で6479億円(2005年度)の税金を支出しています。在日米軍再編で米側が要求する約3兆円を、6年間で換算すれば、年間5千億円。その経費が上乗せされれば、年間1兆1千億円以上を米軍のために負担することになります。
3兆円もの費用を投入してなにがおこなわれるのか。在沖縄米海兵隊のグアム移転や、キャンプ・シュワブ沿岸部への新基地建設(沖縄県)、キャンプ座間への米陸軍新司令部の創設(神奈川県)、岩国基地への米空母艦載機部隊の移駐(山口県)などなどです。

これらは、すべて日本の安全保障とはなんの関係もない、ブッシュ米政権による先制攻撃戦略を支える米軍基地態勢の恒久化・強化を目的とするものです。だからこそ、基地を抱える沖縄、岩国や座間などの自治体・住民は「基地の恒久化・強化は許されない」「黙っていると百年先も基地の街」と、一斉に立ち上がっているのです。

これだけの巨額の経費を、米軍のために注ぎ込むことは、もはや主権国家としての財政のあり方として常軌を逸しています。小泉・自公政権はこの間、定率減税の廃止、年金、医療・介護の負担増、障害者にまでに負担を強いる障害者「自立支援」法の実施など、国民への「痛み」押しつけを連続的に強行してきました。

戦後60年以上経ちました。私たちは、米軍の占領から独立するときです。日本の防衛には自衛隊で十分です。アメリカ軍は寄附の相手ではありません。正反対に、正当な地代や水道光熱費など場代を請求すべき相手なのです。
 


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