プロメテウスの政治経済コラム

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あすからG8サミット  大罪人・菅首相はどんな顔をして出席するのか

2011-05-25 22:41:18 | 政治経済

フランス北部ドービルで26、27両日、主要8カ国首脳会議(G8サミット)が開かれる。原発推進国であろうと、脱原発国であろうと、誰もが福島第一原発事故の真相と事故対応についての現状についての菅首相が行う説明に関心を集中させている。世界から日本の信頼性が問われるのだ。しかし、不幸なことに菅政権の対応は、日本国内においても疑惑の声が渦巻いている。事故直後からずっと国民を欺き続けてきたからである。それは、地震の翌日312日の記者会見で「(福島第一原発1号機で)炉心溶融が進んでいる可能性がある」と発表した原子力安全・保安院の中村幸一郎審議官を菅-枝野執行部が即刻、更迭した時から始まった。
私たちは、523日の参議院行政監視委員会での小出裕章参考人の全身全霊をかけた悲痛な告発に耳を傾けなければならない。

 

震災発生直後の政府部内の混乱と菅政権の罪状について、過去の問題の事実関係を突き詰めるよりも現在、未来に目を向けようではないかというのはあまりにも無責任である。原発利益共同体の罪状を明らかにしないで、私たちは正しく前に進めない。地域独占と総括原価方式で守られた電力会社、原発メーカー、ゼネコン、鉄鋼会社などの素材メーカー、天下りで甘い汁を吸った高級官僚、資金を融資する大銀行、広告料、研究費支援などに群がったマスコミ、文化人、御用学者、献金と選挙支援で電力業界の“使い走り”を買って出た政治家たち―「原発利益共同体」の面々の罪は重い。

 

福島第一原発では311日から16日にかけての6日間に、悪夢の現実が進行していた。心ある科学者が、初動対応の重大性を口を酸っぱく指摘していたにもかわわらず、東電も原子力安全・保安院もそれを束ねる菅政権も完全に失敗した。事故対応の初動として、蒸気を抜いて原子炉内の圧力を下げること(ベント)と、外から冷却水を注入して炉内の温度を下げることが緊急に求められる鉄則であった。ところが、冷却水の注入に失敗し(現在、海水注入を中断したのは、菅直人の責任か班目春樹かそれとも東電かで醜い争いを繰り広げている)、1号機から3号機のすべての原子炉で原子炉冷却が停止し、燃料棒が溶融し、圧力容器下部に溶け落ちる「炉心溶融=メルトダウン」を起こした。ベントに失敗して、1号機、3号機では水素爆発が発生し、建屋が吹き飛んだ。2号機、4号機では、圧力抑制室で爆発が生じて、格納容器に損傷を生じさせた。
これらの、メルトダウン、圧力容器損傷、格納容器損傷が持つ意味は重大である。この事態によって、大量の放射性物質が原発外部に放出されたのである

許せないのは、菅-枝野執行部らの大罪である。彼らは福島第一原発の重大放射能事故の概要を完全に把握しながら、国民に対して、この最重要情報を隠蔽し抜いたのである。その罪は万死に値する。

大地震が起きた翌日312日深夜、原子力安全・保安院の中村幸一郎審議官が菅首相と枝野官房長官によって更迭された。その理由は「国民を不安にする」ことだった。中村審議官は、更迭された12日、原子力安全保安院の会見で「炉心溶融が進んでいる可能性がある」と正直に認めた。中村審議官は、原発災害の深刻さを理解し、自然の驚異、そして国民に対して誠実であろうとした。その中村審議官を更迭したことは、原発人災が広がったことに深くかかわることは明らかだ

参議院行政監視委員会での小出裕章参考人の全身全霊をかけた悲痛な告発に耳を傾けよう。
「防災というものの原則は。危険を大きめに評価してあらかじめ対策をとっていく。住民を守ると。もし危険を過大に評価していたのだとすれば、あ、これは過大だった。でも住人に被害を与えないで良かったと胸をなでおろすという、それが防災の原則だとおもいます。」「実は菅政権がやってきたことは、一貫して事故を過小評価して楽観な見通しで行動してきました。国際事故評価尺度で、当初レベル4だとか、いうようなことを言って、ずーっとその評価を変えない、まぁレベル5といったことは有りましたけれども、最後の最後になって、レベル7だと。あまりにも遅い対応の仕方をする。」「それから避難区域に関しても、一番初めは3キロの住人に避難指示だす。これは万一のことを考えての指示です、と言ったのです。しかししばらくすると今度、10キロメートルの人たちに避難指示を出しました。その時も、これは万一の時を考えての処置ですと、言ったのです。ところがそれからしばらくしたら20キロメートルの人たちに避難の指示を出す。その時も、これは万一を考えての指示です、というようなことを言いながらどんどんどん後手後手に対策がなっていった。」

「私は、パニックを避ける唯一の手段は正確な情報を常に公開するという態度、だろうと思います。そうして初めて、行政や国が住民から信頼をうける。そしてパニックを回避するのだと、私はおもってきたのですが、残念ながら日本の行政はそうではありませんでした。常に情報を隠して危機的な状況でないということを、常に言いたがるということでした。」

 

誰の責任かを明確にしないまま労働者や住民に、犠牲を強制しています。福島の原発で働く労働者の被ばくの限度量をひきあげてしまったり、あるいは住民に対して強制避難をさせる基準を現在の立法府が決めた基準とは全く違ってまた引きあげてしまうと、言うようなことをやろうとしている。」「本当にこんなことをやっていていいのだろうかと、私は思います。」

「失われる土地というのは、もし現在の日本の法律を厳密に適応するなら、福島県全域といってもいい位の広大な土地を放棄しなければならなく、なるとおもいます。それを避けようとすれば、住民の被ばく限度を引き上げるしかなくなりますけれども。そうすれば住民たちは被ばくを強要させるということになります。」


「最後になりますが、ガンジーが7つの社会的罪ということを言っていて、彼のお墓にこれが碑文で残っている、のだそうです。」

1番始めは『理念なき政治』です。この場にお集まりの方々は政治に携わっている方ですので、えー、十分にこの言葉をかみしめて頂きたいとおもいます。」「そのほかたくさん、『労働なき富』、『良心なき快楽』、『人格なき知識』」「『道徳なき商業』。これは多分、東京電力始めとする電力会社に私は当てはまると思います。」

「そして『人間性なき科学』と。これは私も含めたアカデミズムの世界がこれまで原子力に丸ごと加担してきたと、いうことを私はこれで問いたいと思います。」「最後は『献身なき崇拝』。宗教お持ちの方はこの言葉もかみしめて頂きたいと思います。」

 

本格的な復興論議に入る前に、リーダーとしての適格性を欠く『理念なき政治』家を政権中枢から排除することが必要だ。私たちが、福島から教訓をくみ取り、正しい道を前進するためには、東電はもとより菅内閣、原子力委員会や原子力安全委員会、経済産業省や原子力安全・保安院、さらに原発立地の自治体も含めすべての「原発利益共同体」の面々の罪状を明らかにしなければならない。

 


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