プロメテウスの政治経済コラム

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国連「謝意」決議と海自の給油活動継続  自衛隊の海外派兵はいつから当たり前となってしまったのか

2007-09-21 18:58:38 | 政治経済

国連安全保障理事会が、アメリカのアフガニスタン「報復戦争」にたいする日本を含む各国の貢献に「謝意を表明」する決議を採択した。国連憲章第7章に基づく決議本文は、「ISAF(国際治安支援部隊)の権限を10月13日から12カ月延長することを決定」ということだけである。安保理は01年以降、毎年、決議を採択してISAF任務を延長している。これまでも前文では「ISAFとOEFの協力関係の強化を歓迎する」などの文言があったが、今回「(ISAFを指揮する)北大西洋条約機構(NATO)の指導力や海上阻止活動を含め、ISAFとOEF(に参加する)各国の貢献への感謝を表明」の一文が前文に入った。国連外交筋によると、ドイツも国内事情からISAFやOEFの重要性を示す文言を入れるよう求めたという棄権したロシアのチュルキン大使はその理由について、決議案が海上阻止活動に特別に言及した点を挙げ、「本来、国際的な平和や安全保障に責任を持つべき安保理が、決議で加盟国の国内事情を優先させた」と語り、日本やドイツの国内事情が影響したことを批判。同大使は「なぜ海上阻止活動について特別に言及する必要があるのか、議論が尽くされなかった」と述べた(「毎日」9月20日12時2分配信)。
安保理決議では実際に効力を必要とする内容については、国連憲章第7章に基づき本文に明記される。前文は付け足しのようなもので、ISAFは、安保理決議1386(2001年12月)に基づくものであるが、OEFは安保理決議なしで、タリバン・アルカイダ勢力の一掃を目指す米国が主導しているものであるという事実は変わらない。当然、OEFの一環である海自の給油活動に国連決議はない。民主党の鳩山由紀夫幹事長は、「取って付けたように事後的に安保理決議ができたとしても順序が逆だ。(新決議採択によって民主党が)結論を大きく変えることにはならない」と述べた(「しんぶん赤旗」9月20日)。
それにしても、日米やドイツの画策が簡単に通る背景には、冷戦後の国連が多国籍企業の自由な蓄積活動を保証するグローバル市場秩序の維持をめざす現代帝国主義同盟(G7またはG8)の共同利益を守る格好の手段に変質したことが指摘できる。国連がこのような共同防衛機能をもつようになるとG7のメンバーである日本が自衛隊を国連PKOに派兵したり、多国籍軍に参加させることは、戦前のような排他的な帝国主義進出ではないということで、自然な流れに埋没することになる。今回はG8の一つであるロシアが異状に気づいたが他の先進資本主義国にとっては、日本によって提供される無料の海上ガソリンスタンドは悪い話ではない。

日本は国連に加盟するとき、憲法が許す範囲で国際社会に貢献すると宣言をし、それが認められて加盟した。国際平和秩序維持活動で、日本が一切武力を使うことがないということは、憲法前文及び第9条からの当然の帰結であり、世界の国々もそういう意味で日本は「普通の国」でないのを当然と考えていた。だから、経済大国でありながら、92年に国連PKO協力法が制定され、戦後始めて自衛隊の海外派兵が実現するまで一度も海外に出たことがなかったのだ。現代帝国主義同盟の各国政府は、基本的に自国の多国籍大企業の利害を代表している。しかし、イラクやアフガンその他21世紀に入っても続く世界の紛争の現実から、世界の多くの人びとは、先進資本主義国の国民も含めて、日本が「普通の国」でないことをうらやましく思い、自国も憲法9条のような憲法を持ち「普通の国」をやめることを願い始めている。世界の民衆レベルでは「特別な国」が「普通の国」となろうとしているのだ。国連の決議があろうとなかろうと海外での武力行使の支援に日本が参加することは憲法違反であり、許されないということを日本国民は自信をもって再確認すべきときである


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