プロメテウスの政治経済コラム

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輸入汚染米の不正転売問題  農水省が主犯だった 事故米「極力主食用に」の通達

2008-11-05 18:49:45 | 政治経済
最近、報道が下火となった(輸入)汚染米転売問題。汚染米事件では三笠フーズに96回も立ち入り検査をしながら、不正を見逃していた農水省。その怠慢と業者との癒着に国民はあきれ返ったものだが、もっとヒドイ事実があった。局長通達で、いわゆる事故米は極力、主食用に充当すること、という“指令”を出していたのである。共産党の紙智子参院議員が農水省の資料の中から発見したもので、「読んでビックリした。怒りがこみ上げてくる」と語っていた。農水省は不正を見逃していたのではなく、不正の主犯だったことになる(Today's Gendai メール2008年10月27日)。不要なMA(ミニマムアクセス)米の輸入をつづけてきた農水省がその在庫処理費用を持て余していたことが、事件の背景にありそうだ

農水省が「事故米穀」(汚染米)を「主食用」として売却することを容認していたことが、農水省・総合食料局長通知「物品(事業用)の事故処理要領」に明記されていた。三笠フーズなどによる汚染米の食用転売は、特定業者の悪意ではなく、同省の方針にそったなかでおきた可能性が高くなった。

――<同局長通知は2007年3月30日付。残留農薬やカビなどで汚染され、「主食用に充当できないもので分任物品管理官(地方農政事務所長ら)が主食用不適と認定した米穀(事故米穀)」については、「品質の程度を勘案上、用途決定」するとしている。「病変米のため主食用不適認定された米穀」は「非食用に処理する」としたうえで、工業用のり用途などに売却すると記載する一方で、「事故米穀を主食用として卸売業者に売却する場合」の処理方法を詳しく定め、食用売却を当然の前提にしている農水省消費流通課も、「事故米穀」まで主食用として売却することについて、「極力主食用に充当することになっているから」と説明。事故米穀を含む「事故品」を食用として売却したという。>――(「しんぶん赤旗」10月25日)。

上記の「しんぶん赤旗」報道には後日談があり、いまも波紋が続いている。事故米の主食用売却が推奨されていたという「しんぶん赤旗」(10月25日付)の報道を契機に「農水省が『食用』奨励!? 事故米問題で新事実」「『汚染米』局長通知「事故品、極力主食用充当」などと、日刊「ゲンダイ」だけではなく、テレビのニュース番組や新聞などもとりあげ、農水省への怒りが広がっているのだ。
怒りに輪をかけたのが、「赤旗」報道に慌てた農水省が「事故処理要領」を「誤記」として「一部改正」措置をとったことである。農水省が「誤記」としたのは、「事故米穀を主食用として売却する場合」と「事故米穀を原料とする生産精米」の二カ所の「事故米穀」を「事故品」に言い換えるという内容。しかし、「事故米穀」と「事故品」とどこが違うのか
「事故品」とは、米や麦などで水濡れや油濡れ、カビが生えたものから、残留農薬やカビ毒で汚染されるなど食品衛生法に違反するものまでを含む広い概念である。農水省は、これらの損傷した米について、これまで「事故米穀」として取り扱ってきた。農水省の事故処理要領では、これらの明確な区分や判断基準はない。「しんぶん赤旗」が問題にしたのが、汚染米にからむものなので、慌てて「米穀」をはずしたとしか思えない。共産党の紙智子参院議員は、次のように話している。

――<農林水産省が総合食料局長通知について「誤記」だったと言い逃れをし、国民をだまそうとしていることに怒りを覚えています。この局長通知は、食管法時代の1965年にだされた食糧庁長官通知「物品(事業用)の事故処理要領」を踏襲したものです。この食糧庁長官通知は2007年3月29日まで使われ、その後食糧法の改正で、問題の局長通知に改定されたのです。経過からみても、誤記ではないことは明確です。その事実を隠して、「誤記」だとわざわざ総合食料局長名で文書をだすことは、農水省全体で国民をだますことになり、町田総合食料局長と石破農水相の責任はきわめて重大です。その責任を徹底的に追及していきたい。>――(「しんぶん赤旗」11月2日)。

農水省は、大量に在庫を抱えた輸入米の処分を持て余し、主食用不適として認定した「事故米穀」の「主食用売却」までを推奨したのだ。ヒドイ話しだ。

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