プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

温暖化防止  米不参加なら日本も  真剣さのない小児的日本政府の態度

2008-11-04 20:19:34 | 政治経済
京都議定書の温室効果ガス削減第一約束期間が終わる2013年以降の温暖化防止対策について、米国が新協定に参加しないなら日本も参加しないとまさに小児がダダをこねるような発言を外務省国際協力局の杉山晋輔・地球規模課題審議官が発言していたことがわかった。言うまでもなく、温暖化防止は、地球上のすべての国が全力を注ぐべき全人類的課題である。しかし、米国や中国が参加しないのなら、自分もやめたいというのは、要するに地球がどうなろうと損なことはしないということだ。世の中を損得だけで生きる生き方もある。但しそれが国の場合は、支配階級にとって損か得かということだ。

――<地球温暖化防止の次期協定の交渉を担当する外務省高官が、交渉の最優先課題は米中両国の参加であり、米国が新協定に不参加なら日本も参加すべきでないと発言していたことが判明した。外務省国際協力局の杉山晋輔・地球規模課題審議官は10月23日にワシントンで開かれた日米関係のシンポジウムで発言し、現職に就任した時に高村正彦外相(当時)から、「君の仕事は非常に複雑にみえるかもしれないが、単純に言えば米国と中国を関与させることだ」との訓示を受けたと紹介。
「(世界の温室効果ガス排出量の20%を占める)米国が(新協定に)参加しないなら日本も参加すべきではない」と表明。米国と同様の排出量の中国も参加しない協定なら「あまり意味をもたない」と述べ、「もし米新政権が来年末までに交渉を達成する覚悟なら日本政府もついていくべきだと思うが、新政権や新議会が米国内で(新たな温暖化対策への支持を)どこまで獲得できるか分からない限り、日本は中国やインドと交渉しない」と、温暖化問題でも自主性放棄の対米追随姿勢をとることを公言した。>――(「しんぶん赤旗」2008年11月1日)。

財界が政治を牛耳っている日本政府は、もともと温暖化防止に真剣に取り組む気はない。温暖化防止は企業のコスト増になるうえに、操業制限に追い込まれる可能性すらあるからである。新興諸国が成長過程で排出する温室効果ガスと自分たちのそれが異なった扱いをうけることも気に入らない。先進諸国がこれまで歴史的に散々地球を汚してきたことなどは知らん顔である。今さえよければいい。今さえ得であればよい。資本主義企業の典型的思想である。しかし、同じ資本主義国家でも政治の度量によって実際の行動には大きな違いが出る。日本の経営者は資本の論理の人格化そのものであり、そして彼らの横暴を抑える国民の側の抵抗の力が弱いから、日本政府の政策は、ストレートに財界の要求通りということなのだ。

――<日本政府は10月21日の地球温暖化対策推進本部で、企業間で二酸化炭素(CO2)排出枠を売買する国内排出量取引制度を正式決定した。しかし、日本の制度は、削減目標設定は企業任せで、目標未達成への罰金もなく、規制の機能を果たす気があるのかどうかも疑わしい。財界は、このような制度の試行にさえ、“企業ばかりが狙い撃ちにされる”と不快感を表明している。もともと排出量取引は、EU型であっても、企業の排出量を削減する補助的手段にすぎない。日本が実効ある温暖化対策に踏み出すには、企業任せの「対策」の抜本的転換が求められている。>――(「しんぶん赤旗」同上)。

日本は、京都議定書で1990年比6%削減を義務付けられている。しかし、その一部でも削減するどころか、逆に(06年の実績で)6%以上も増やしており、削減目標達成の具体的施策も決められない。
今さえよければいい。今さえ得であればそれでいい。こんな財界の思想に私たちも同調してよいのだろうか。地球温暖化問題という人類的課題を米国が方針を固めなければ日本の方針も決められないと逃げていてそれでいいのだろうか。


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