プロメテウスの政治経済コラム

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消費税4%上げ必要 政府の社会保障国民会議  憲法を基礎に据えた税制論議を!

2008-10-24 20:07:57 | 政治経済
政府の社会保障国民会議は23日、医療と介護の費用として2025年段階で11兆―14兆円の新たな税財源が必要になるとの試算結果を、医療・介護・福祉分科会に示した。新たな税財源を消費税率に換算すると3―4%に相当するという。「社会保障の財源確保」を口実にして消費税増税の論議を加速させる狙いであることは明らかだ(「しんぶん赤旗」10月24日)。
近代国家における税制の基本原則は、租税法律主義(課税法定主義)である。そしてすべて法律は、したがって租税法も、憲法の趣旨に違反してはならない。日本の税制論議にもっとも欠けているのは、憲法が出てこないことだ

社会保障国民会議は5月にも、年金財源を「全額税方式」にした場合、消費税率は9・5―18%になるとの推計を公表している。今回の試算では、医療・介護の提供体制について、現状のまま推移した場合(A案)、病床削減などの「効率化」と医師・職員増などの「充実」を行った場合(B案)について、それぞれシミュレーションを実施。新たに必要になる財源は、A案の場合に20兆円(保険料9兆円、税11兆円)。B案の場合は26兆円(保険料12兆円、税14兆円)としている。追加分の税を消費税率換算すると、A案11兆円が3%程度、B案14兆円が4%程度になるというわけだ(「しんぶん赤旗」同上)。

一般消費税は、天下の悪税である。飲んだり、食べたりすることは、貧乏人であろうが金持ちであろうが人間のもっとも基本的な楽しみであり、営みである。こんなものに税金を課すのは、権力者の具の骨頂である。憲法違反(応能負担原則違反)の法律であるということからも廃止しなければならない。言うまでもなく、憲法は政治の大原則を定めたものであり、一国の法秩序の頂点にある根本法である。法をめぐる一切の問題は理論的にも、実践的にも憲法問題の中に集約される。したがって、税制や財政の問題は当然のことながら、憲法から出発し、憲法にかえらなければならない。

日本国憲法は租税国家体制を前提にしている。租税国家では政治の中身は、所詮、どのような租税を人びとから徴収し、徴収した租税をどのように使用するか、ということに帰する。私たちの平和、福祉、人権なども、このような租税問題の処理の仕方によって基本的に決まることになる

日本国憲法は、租税の使い方については、平和的生存権を含む基本的人権の尊重を規定しており、そのような観点からは租税の使い方は「平和・福祉本位」が大原則である。法理論的には所得税、法人税、相続税、固定資産税、酒税、消費税など税目の如何にかかわりなくすべての税が「平和・福祉目的税」ということになる。消費税を「社会保障目的税」にせよなどという主張は、憲法をまったく理解しない税制論議の典型なのだ(北野弘久「社会保障充実と財源問題を斬る」『月刊全労連2008年4月号』)

日本国憲法は、租税の取り方、つまり租税負担のあり方については、人びとの能力に応じ公平に租税を負担するという「応能負担原則」(憲法13、14、25、29条等)を規定しており、各租税の実体的あり方についてはこの応能負担原則(最低生活費非課税、超過累進税率、総合累進課税など)に従うことを求める。ところが、税負担のフラット化などの主張のもとに金持ちの税負担逃れが横行している。法人税率も現在の中途半端な中小企業軽減税率ではなく、大儲けしている大企業の税率を累進的に引き上げるべきなのだ(北野弘久 同上)

なぜ憲法どおりの税制が実現できないのか。税法をつくる国会が財界と金持ちの代理人よって牛耳られているからである。どうすればよいか。一人ひとりが国会から支配者勢力を追い出すために投票行動に立ち上がることだ

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