プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

賃貸保証会社  新しい貧困ビジネス  サブプライム アメリカ版貧困ビジネス

2008-03-04 20:34:39 | 政治経済
連帯保証人を頼めない高齢者や貧しい単身者にとって保証人になってくれる「賃貸保証会社」は便利である。ところが、この「賃貸保証会社」をめぐっていろいろトラブルが発生しているという。経済的弱者、貧乏人の窮状に便乗して、人々の生活をさらに圧迫していく商売、いわゆる「貧困ビジネス」の比較的新しい業種ということらしい。いったん滞納した家賃を立て替えてもらうと、過酷な取り立てがまっている(「しんぶん赤旗」3月4日)。一方、サブプライム・ローンは典型的なアメリカ版貧困ビジネスである。新自由主義によって生み出された経済的弱者がトコトンまでビジネスの餌食とされるのだ。

▽玄関のドアに保証会社によって督促の張り紙をされた▽家賃六万五千円を滞納したら、立て替えた保証会社から七万五千円を請求された▽家賃二カ月分を滞納したら二日後に払えると言っても、保証会社から出ていけと言われた。督促で十分おきに電話してくる▽保証会社が深夜に取り立てにやって来て、さらに深夜訪問の手数料を請求された――全国の消費生活センターに寄せられた、保証会社による強引な家賃督促や立ち退き要求のトラブル事例である。張り紙、間隔を空けない督促電話、深夜の取り立てなどは、サラ金であれば貸金業法で禁じられている行為だ。しかし、保証会社にはいまのところ、これを監督する官庁や規制する法律はない(「しんぶん赤旗」同上)。

国民生活センター情報分析課の担当者によると「相談件数はまだ少ないが、最近の事例を見ると非常に悪質だ。賃貸保証会社は比較的新しいビジネスなので、これからトラブルが増える可能性がある」と指摘する。保証会社は、入居者との間で連帯保証人を請負う契約の一方で、大家とも家賃取立てや入居者の立退き手続き代行等の契約を結ぶ。そのため家賃滞納の際には入居者に対する督促、使用禁止、契約解除―などの権限が保証会社に与えられる。「入居希望者に差別なく住居を借りられるチャンスを」の美辞麗句のもと、サラ金のような激しい取立てが、法規制の及ばない新たな分野で広がりはじめている(「しんぶん赤旗」同上)。

アメリカのサブプライムローンは、まともに金を借り、住宅を持つことなど遠い夢であった低所得者層やマイノリティーのマイホームの夢をあおったブッシュ政権のもとで急増した典型的なアメリカ版貧困ビジネスである。サブプライムローンの実態は「略奪的貸し出し」(predatory lending)である。低所得階層や米国へ移民して間もない外国人などの経済的弱者に半ば強引な貸付が行われ、「債務の罠(わな)」に追い込むことで金融資本は高収益を上げてきた。住宅の値上がり益(ホームエクイティ)を狙った銀行は、カードローンなどの借金の返済負担に苦しむサブプライム層に対し、既存の住宅ローンの借り換えによる支配負担軽減を「餌」にARM(金利調整型住宅担保貸し出し)を売り込む一方で、住宅担保カードローンを拡大させていった。貧困化で高金利のカードローン地獄に陥っていた経済的弱者に新しい型の住宅ローンを押し付け高金利・長期・巨額の債務を背負わせた。最終的には住宅差し押さえまで追い込んでいく、まさに略奪性が特徴だ(鳥畑与一・静岡大教授「投機マネーの暴走を考える 欠陥商品の根絶が必要」「しんぶん赤旗」3月4日)。
経済的弱者、貧乏人の窮状に便乗して、人々の生活をさらに圧迫していく商売=典型的な貧困ビジネスそのものだ。

アメリカ版の貧困ビジネスは、投資家向けの高金利の証券化商品を組成するうえで無くてはならない材料となった。米大手銀行の証券化ビジネスのなかにサブプライムローンが組み込まれることで、ARM(金利調整型住宅担保貸し出し)という欠陥商品が無責任も世界に乱売されていった。「経済的弱者には高金利は当然」、「借金の自由こそ借り手の利益になる」という新自由主義の金融的実践がもたらした惨劇―投機マネーがアメリカ版の貧困ビジネスによって経済的弱者を標的にし、食いものにしたそのツケが今回の金融危機なのだ。

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