プロメテウスの政治経済コラム

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テロ特措法 きょう期限切れ  日本国民が「ノー」と言ったことは画期的なこと

2007-11-01 21:55:59 | 政治経済
自衛隊は1992―93年のカンボジアPKO(国連平和維持活動)への派兵以来、PKO法、テロ特措法、イラク特措法に基づき、モザンビーク(南部アフリカ)、ゴラン高原(中東)、東ティモール(東南アジア)などへの海外派兵を続けてきた。インド洋の給油活動は、アフガニスタンで「対テロ報復戦争」(米軍作戦名「不朽の自由作戦」)を実施している米艦船などへの兵站活動の一環にほかならない。紛争終結後のPKOなどと違い、初の実戦支援として重大な憲法違反の派兵であった。しかも給油相手の米艦船は、テロ特措法が支援対象とする「海上阻止活動」(MIO)だけでなく、アフガン空爆やイラク作戦・戦争も同時に実施している(「しんぶん赤旗」11月1日)。

そもそも、現行テロ特措法は、一体どのような目的で、誰のためにつくられた法律であるのか。法律の本来の名前は「平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法」である。なんでこんな長い名前になったか。法律の成立を強行した小泉政権も憲法違反を自覚していたのであろう。やけに国連憲章や決議が出てくるが、アフガンでのアメリカの戦争は、9・11対米同時テロに対する報復戦争であり、国連は報復戦争を認めていない。しかも9・11対米同時テロは、アメリカの(あるいはタリバンと合作の)自作自演の疑いが極めて濃いのである。その後のイラク攻撃から、ブッシュの「テロとの戦い」の正体が誰の目にも見えてきて、いまや世界でも米国内でも批判に晒されている。アメリカに付き従って戦争に参加している政府は、それぞれの国内の支配階級の思惑を代弁しているだけで、現代帝国主義同盟の政府からは、日本の無料給油の継続が評価されても、決して真の意味で国際社会から歓迎されているわけではないパキスタンが期待しているというのは、アメリカやイギリスのために参加しているのに、彼らからの給油は有料で日本からは無料であるということだけである。

それにしても、アメリカもさぞ驚いていることだろう。今まで一度も手を噛んだことのない従順な「ポチ」が米軍支援を中断してしまったのだから。ブッシュ政権にとっては、給油の経済効果もさることながら、日本が中東から脱落することのほうが打撃である。イラクでは、「プードル」(英国)も腰が引けはじめた。アメリカとの関係でいやいやながら付き合っている有志連合国の中から、「あの日本さえ帰ったのだから」という国がでてきてもおかしくない。大体、有志連合国の国民は押しなべて自国軍隊の派兵反対なのだから。

憲法違反の自衛隊の海外派兵が派兵継続に反対する国民世論を受けて派兵が中断されるのは、画期的なことであるしかし、これでアメリカや財界があきらめるほど、彼らはヤワではない参院選で、戦術的判断からとはいえ、民主党は構造改革と軍事大国化の方針を急転換して躍進した。しかし今後大きな岐路に立たされることは間違いない(渡辺治「安倍政権とはなんであったか?」『月刊全労連』2007年11月号)。
福田―小沢の密室談合がすでにはじまった。民主党は早速、当面する新テロ特措法反対、イラクからの撤退を貫くかどうかの判断に迫られる。この方針を貫くと、日米軍事同盟に亀裂がはいることが避けられない。「国連」のお墨付きという枕詞のもとで、妥協が図られる可能性がおおいに予想される。08年通常国会で恒久派兵法に一気に進む可能性もある。 町村官房長官は1日午前の衆院テロ防止特別委員会で、自衛隊の海外派遣のあり方を総合的に定める一般法(恒久法)の制定について、新テロ対策特別措置法案をめぐる対応が決着後、早急に検討に着手する方針を表明した(「読売」11月1日15時21分配信 )。

折角到来した「自衛隊撤退」のこのチャンスを「恒久撤退」とさせる(森英樹「テロ特措法期限切れ」-「しんぶん赤旗」11月1日)ことができるかどうかは、国民の持続した声にかかっている。

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