プロメテウスの政治経済コラム

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米軍再編交付金  反対自治体を「兵糧攻め」 反感・反発を招くだけ

2007-11-02 21:39:09 | 政治経済
再編交付金は、在日米軍再編を理屈では説得できないが、促進を米国から要求された売国的政府が地方自治体をカネでねじ伏せることを狙った交付金である。したがって、従来の基地交付金とは異なり、再編計画の対象になっている自治体に計画の受け入れ度合いに応じて交付金を給付する。受け入れから始まって、進捗状況によって四段階―(1)米軍基地を受けいれたかどうか(2)アセスメントに応じたかどうか(3)着工に応じたかどうか(4)完了したかどうか―で交付。
これまで米軍基地にかんする交付金は、基地をおくことによる環境悪化、自治体や地域住民の損害への補償という建前で行われてきた。しかし、その性格をまったく変質させて、交付金を、いわば国策に従わせるテコに変えてしまったのが、今回の米軍再編交付金である。もはや国家としての矜持も品格もまったくない。「米軍基地を強圧的に押しつける道具として交付金を使い出したもので、非常に卑劣なやり方だ」(共産党・志位委員長―「しんぶん赤旗」11月2日)。

指定されたのは、大陸間弾道ミサイル迎撃のための新型早期警戒レーダー「Xバンドレーダー」の配備を受け入れた青森県つがる市、米軍F15戦闘機による千歳基地での訓練分散移転を容認した北海道千歳市など。 一方、岩国飛行場への空母艦載機の移転受け入れに反対する山口県岩国市(周辺1市2町は対象)など、米軍の移設計画で基地負担が増えることが決まりながら計画受け入れに反対する6市町村は交付金の支給対象から除外。米陸軍第1軍団司令部の受け入れに伴い、司令部を改編するキャンプ座間(神奈川県)をめぐっては、同一の計画を容認した相模原市は支給対象としたが、計画に反対する座間市は指定から外した(「朝日」同上)。

座間市が米軍基地再編交付金の対象自治体に指定されなかったことを受け、星野勝司市長は1日、防衛省の地方協力局の地引良幸局長と会い、指定しなかったことの説明を求めた。星野市長によれば、指定から座間市を外した根拠について、地引局長からは、米軍再編についての同市の理解と協力を得られているとの判断ができない状況のため、という説明があったという。星野市長が「基地の恒久化解消への具体的方策を示すことを求め続けてきたことが指定を判断する障害となったのか」と問うと、地引局長は障害ではないとこたえ、判断基準については、「受け止める国の主観的な判断」で、具体的な基準はないとの回答だった(「しんぶん赤旗」同上)。
国策に素直かどうかは、国の主観的判断で決めるというのだ。米陸軍第1軍団司令部の受け入れに伴い、司令部を改編するキャンプ座間は、相模原市と座間市にまたがる。片や支給対象、他方は対象外、もはや理屈ではない。 

確かにカネの力は大きい。しかし、住民の平穏な生活や安全をカネで売ることが、政治といえるのか。地方自治を真っ向から否定し、民主主義や住民自治をないがしろにするものだ。
座間・星野市長は、「今回の措置によって(反対が)揺らぐことはない」ということだ。
岩国・井原市長は、「岩国市が指定されないのに周辺が指定されるのは疑問が残る」と述べた。
名護市の幹部は「(より沖合にという)地元の要望をわかろうともせずにこんな進め方をするのは、おごりではないか」と話した(「朝日」同上)。

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