プロメテウスの政治経済コラム

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民主代表選 小沢氏出馬表明  政界再編への前触れか?

2010-08-26 21:36:11 | 政治経済
民主党の小沢一郎前幹事長が党代表選への出馬を決断したようだ。小沢氏は鳩山前首相とともに、自分たちが幹事長、首相を続けていては7月の参院選に勝てないということで、6月2日に同時辞任した。あれから3ヶ月も経っていない。常識的に考えると、何億円もの政治資金の説明も依然曖昧なままで、出馬を決断するとは思っていなかったが、菅・民主党内では、政治生命、影響力を維持することも難しいと判断し、ここは打って出るほかないということなのだろう。そして、立候補する限りは、かなりの勝算ありと踏んでいると思われる。
鳩山前首相は26日午前、小沢一郎前幹事長との会談後、記者団に対し、「(2003年の旧自由党と民主党との合併時)私の一存で小沢氏を民主党に入れた。小沢氏を支持するのが大義だ」と語った。鳩山グループの相当数が小沢氏を支持すれば、議員票は小沢氏が上回る可能性は十分ある。しかしたとえ、小沢氏が勝っても、円高・デフレ・財源難の三重苦に喘ぐ経済、袋小路の普天間問題など事態は並大抵でない。私は、小沢首相では国民世論の支持からいっても、長く持たないと思うので、結局これは、党分裂、政界再編への前触れと見たい。
≪明日から、北京、朝鮮を訪問します。ブログの更新はしばらく休みます。≫

産経新聞(8月26日15時11分配信)は、民主党の小沢一郎前幹事長が、党代表選への出馬を決断したのは、出馬を見送れば党内での影響力ばかりでなく、政治生命にも影響しかねないと危機感を持ったためだ、という。
小沢氏は、党内に多数の子分を擁しているのだから、シンドイことをするよりも、裏から睨みを利かせる役回りを続ける方を選ぶのだろうと思っていたが、まだまだエネルギーが残っているようだ。「小鳩」のつぎに「小菅内閣」をというのは、素人考えであったようだ。「菅首相に挙党一致の態勢を求めてきた。鳩山前首相が何度も申し入れたのにまったく受け入れられなかった。だから決意した」と小沢氏は、出馬を決意した理由についてこう語っている。支配階級に屈服することで支持を取り付けたズル菅は、「脱小沢」の強気のポーズを崩さなかったのだろう。

もともと第二保守党として自民党と政権を競い合っていた民主党が、小泉構造改革政治のもとで矛盾が爆発し、反構造改革、反改憲の運動がたかまり、その空気を察知したのが、小沢代表(当時)時代の07年マニフェストだった。「国民の生活が第一」のスローガンを掲げ、子ども手当や農家の戸別所得補償制度、教育の新自由主義的改革の見直しなど構造改革批判に「転換」するものだった。小沢代表のこの路線は、09年の鳩山マニフェストにも引き継がれ、07年マニフェストでも言っていなかった後期高齢者医療制度の廃止や障害者自立支援法の廃止、労働者派遣法の抜本改正を掲げた。小沢・鳩山民主党は、保守政党の枠、つまり構造改革と軍事大国化・日米同盟の枠を部分的に踏み破ったのだ。
こうして国民の期待を担って鳩山政権が誕生したが、部分的に保守党の枠をはみ出した鳩山政権は、「財政破綻を許さない」「税財政の一体改革」という圧力を財界から受けることになった。マスコミも財界に調子をあわせ、財政再建・福祉バラマキの政治反対、日米同盟の枠を守れという大合唱を始めた。もともと、一枚岩でない民主党の分裂構造のもとで、鳩山政権は、ジグザグを繰り返し、ついに辞任に追い込まれたのだった。

ところが菅氏は、総理大臣になった途端に「反小沢」の人事体制をとり、これまでの自身の言説も翻して、日米合意を積極的に容認する。さらに消費税増税を含む財政再建を打ち出して構造改革路線の再建を掲げた。この路線は、支配階級が歓迎する第二保守政党としての民主党の原点回帰であった。小沢派を切ることで国民に、きれいな政治になるのではという幻想を与えながら、支配階級に迎合するズル菅らしいやり方だった。
「政治とカネ」の問題などを抱える小沢氏の立候補について、側近の松木謙公衆院議員は記者団に「小沢政権ができたら支持率は低いかもしれないが、政権公約を実現することによって国民が幸せを享受できる」。別の若手衆院議員も「小沢氏は『挙党一致』を主張するだろう。党内の支持はある程度広げられる」と自信をみせた。
一方、首相周辺は「首相は負けないと思うが、心配なのはその後。小沢氏をどう処遇するか」と漏らした、という(「朝日」2010年8月26日)。

私は、小沢首相では国民世論の支持からいっても、長く持たないと思うので、結局これは、党分裂、政界再編への前触れと見たい。



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