プロメテウスの政治経済コラム

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辺野古飛行経路のまやかし  沖縄県民がますます怒るだけ  民主も自民も本当に愚か

2010-08-25 20:26:22 | 政治経済
米軍普天間飛行場の辺野古移設計画の杜撰さがまた一つ明らかになった。代替施設の飛行経路に関する日本政府の従来の説明が間違いで、実際にはより集落の近くを飛び、騒音被害が拡大すると判明した。日本政府はこれまで沖縄に対し、集落から極力遠ざけた飛行経路を提示してきたが、米側は海兵隊の運用の実態と懸け離れていると主張。「いったん造ってしまえばこっちのもの。造るまでは虚偽の説明を通せばいい」と日本政府は考えていたようだが、17日から19日までワシントンで開かれた実務者、専門家協議で、米側は「航空機が台形に飛べるはずがない。標準的な楕円形の経路で飛ぶ。沖縄に正直に説明すべきだ」と、“是正”を要求した、という(琉球新報2010年8月24日 )。
民主も自民も本当に愚かだ。工事で儲けを企む一部の利害関係者を除いて、「『沖縄の負担軽減』だの『普天間基地の危険性の除去』だのと言ったところで、辺野古への『県内移設』は沖縄の中で米軍基地・演習の負担と危険性をたらい回ししているだけにすぎない」(目取真俊さん)。
どんな姑息な手段を弄しても沖縄県民を説得することはできない。

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設手法の詳細を決める日米協議で、米政府が、軍用機の飛行経路(有視界飛行)に関する日本政府の従来説明が間違っているとし、大幅に広げるよう要求していることが分かった。日本政府はこれまで沖縄に対し、集落から極力遠ざけた飛行経路を提示してきたが、米側は海兵隊の運用の実態と懸け離れていると主張。経路が広がることにより、北東部の名護市安部地区などで騒音被害を受ける対象地域が拡大する(琉球新報 同上)。
琉球新報8月24日付より

日本政府は2006年の日米合意以降、米軍機の飛行経路を、周辺住宅地に極力近づかないような「台形」にとどめると沖縄側に説明してきたが、日本政府のあまりにもよい加減さに、米側は「沖縄に正直に説明すべきだ」と促したというのだ
天候不順の際に行う計器飛行についても、I字滑走路の場合、安部地区北西の「カヌチャリゾート」の上空を飛ばない経路を図示する日本側に対し、米側は運用上、ホテルや周辺地域の上空飛行は避けられないと正直に説明している

 できもしない合意があるとウソをつき、県民の反発をかわそうとするのは、自民党政府がこれまで繰り返してきた構図だが、菅・民主党もまったく同じである。
1995年の不幸な事件の後、県民の基地への反発が高まると、日米両政府は嘉手納、普天間両飛行場に関する騒音防止協定を結んだ。深夜・未明の飛行自粛をうたい、県民に期待を抱かせたが、全く守られず、何の効果もなかった。米兵の夜間外出禁止措置も同様だ。今回の飛行経路も、仮に日本側の主張通りに取り決めたとしても、同じ経緯をたどることは想像に難くない

環境アセスの住民説明会で沖縄防衛局は、辺野古新基地での米軍ヘリの訓練は海上を同方向に旋回ばかりしているかのような言いぶりだった。海の上を一日中ぐるぐる回っているだけで戦闘訓練になるはずがない。キャンプ・ハンセンや北部訓練場、伊江島など陸上での訓練を組み合わせて初めて実戦的な訓練となるのであり、住宅地上空を飛行するのは分かりきったことだ。オスプレイの配備について質問しても曖昧にしてごまかし、住民を馬鹿にした説明を平然とやっていたのが沖縄防衛局の職員たちなのだ(目取真俊<沖縄・ヤンバルより>「飛行経路のまやかし」2010-08-24 )。

 一度、米軍基地ができてしまえば、飛行経路であろうが何であろうが基地の使用については米軍の勝手気儘である。なぜか。
日米地位協定3条の米軍基地の管理権をめぐり、1960年に旧協定(行政協定)から現協定に変わった際、基地運用のあり方について「(米側が)権利、権力、権能を有する」とした文言を「すべての措置を執ることができる」に改め、さも米側の権限を弱めるかのように表現を変えたことになっているが、60年1月6日に藤山愛一郎外相とマッカーサー駐日米大使が署名した秘密了解文書で、実際は旧協定で定めた権限を変えずに引き継ぐことで日米が秘密裏に合意しているからだ。例の通りの密約である。日米関係研究者の新原昭治氏が2008年に米国立公文書館で入手した
新原氏は「米軍特権の中身を変えずに継承され、基地運用に日本が及ばない根源的なよりどころとなっている」と指摘。嘉手納基地の深夜・早朝の米軍機飛行など「米側が思い通りに使える背景にある」という。

米軍基地と軍属が治外法権であることは、敗戦直後の直接占領時代と少しも変わっていない。外国軍隊が超不平等条約のもと65年間も占領を続けているということは、それだけで異常である。それでも、米軍駐留を有難いと思っているのが日本の支配階級と無知な国民である。

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