プロメテウスの政治経済コラム

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事務所費疑惑  小沢氏の公表は当然 問われているのは主権者への説明責任だ

2007-02-21 18:22:12 | 政治経済
伊吹文明文部科学相、松岡利勝農水相らが賃料のいらない議員会館に資金管理団体の「主たる事務所」を置きながら巨額の「事務所費」を支出していた。政治資金規正法施行規則によると、「事務所費」の定義は、政治団体の事務所の借料損料(地代、家賃)、火災保険料、電話使用料、切手購入費、修繕費などである。議員会館は賃料がいらないため、数千万円の「事務所費」は、誰が見ても「電話や切手など通信費を入れてもこんな額にはならない」と思うのが当然である。

伊吹文科相の事務所は、「議員会館の事務所とは別に、東京と京都に事務所があり、家賃が年間計千八百万円ほどかかる」と弁明している。ところが、東京・平河町にある「明友会」や、京都市下京区に同居する伊吹氏が支部長の「自民党京都府第一選挙区支部」、「自民党京都府明風支部」、関連政治団体の「新風会」とも、それぞれが事務所費を別に計上しているのだ(「しんぶん赤旗」2007年1月12日)。
佐田玄一郎行政改革担当相は、計上した架空の事務所費を何に使ったか説明できず昨年末に、辞任に追い込まれた。伊吹氏も松岡氏も佐田氏とどこがちがうのか。
政治資金規正法第九条は「会計帳簿の備付け及び記載」を義務付けている。会計に携わるものの常識であるが「account=勘定」とはすなわち「accountability=説明責任」なのだ。

政治資金規正法は、第二条二項で「・・・その政治資金の収受に当たつては、いやしくも国民の疑惑を招くことのないように、この法律に基づいて公明正大に行わなければならない」と定めている。確かにザル法に合致していておれば、それでいいようにも読める。しかし、同法第二条一項は「この法律は、政治資金が民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財であることにかんがみ、その収支の状況を明らかにすることを旨とし、これに対する判断は国民にゆだね、・・・適切に運用されなければならない」とも謳っている。政党助成金はずばり国民の税金であり、企業・団体献金も処分したのは代表者個人かも知れないが、原資は国民の労働ないしは会員の拠出金である。主権者である国民が疑念を持った場合、内容を説明し、その判断を国民にゆだねるのが政治家の責任である。

民主党の小沢代表が20日、自らの資金管理団体「陸山会」が2005年の政治資金収支報告書に事務所費約4億円を計上していた問題について、事務所費の内訳や領収証などを公表し、記者会見で説明した。疑惑をなげかけられた政治家が自主的に説明責任を果たすべきことは当然であり、他の閣僚や他の議員で疑惑をかけられている政治家も、きちんと自主的に詳細を公表、説明すべきである。説明責任を果たせないような人間は、自ら政治家の資格がないことを証明しているようなものだ。

領収書を取れないものを、人件費や事務所費で処理しても中身を審査する仕組みのない[ 総務省政治資金課は、報告書を受理し、公表するだけの権限 ]現行政治資金規正法=ザル法を改正しなければならないことは当然である。
しかし、ザル法に合致しているというばかりで、個々の政治家の説明責任回避を許し、法律改正の姿勢を見せることで逃げ切りを図る安倍首相の政治責任も厳しく追及されなければならない。

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