プロメテウスの政治経済コラム

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民主党マニフェスト  民主党が掲げたものは・・・ 民主党だけでは不安だ

2009-07-28 21:05:04 | 政治経済
民主党は27日、総選挙に向けた「マニフェスト」を発表した。このマニフェストで政権交代を懸けた戦いをするという。多くの有権者は、選挙に関心を寄せ、自公政権を終わらせ、新たな政治を切り開きたいと願っている。同時に民主党が伸びることを予想しながらも、同党への不安や疑問の声も根強い。日本経団連は8月に、自民党と民主党のマニフェストについての意見交換を行う予定である。政権交代しても、財界の主導権を狙って着々と民主との政策協議を進めている。財界は民主党だけでは不安だと思っているようだが、われわれ国民の側も民主党だけでは不安なのだ。

「政権交代」と題したマニフェストにおいて、鳩山代表は冒頭、「国民の生活」を最優先に「すべての予算を組み替え、子育て・教育、年金・医療、地域主権、雇用・経済に税金を集中的に使う」と宣言。
そのトップの「ムダづかい」の項目に、議員の世襲と企業団体献金の禁止とともに、衆院比例定数の80削減を明記した。いまの選挙制度のもとで民意を国会に反映する唯一の制度である比例代表を「ムダ」と位置付け、いっそう民意を削るものだ。消費税増税、改憲という日本政治の進路にかかわる重大問題で、少数政党を締め出して本当にいいのか。世論調査でも、いまや「第一党」は「無党派層」である。時代の転換期に多様化した国民の意見を国会の外で無理やり二つに収斂させる必要はない。国会議員は全国民の代表として、民意を正確に反映して選ばれるべきだろう。

「5つの約束」ではそのほか「子育て・教育」「年金・医療」「地域主権」「雇用・経済」の項目を挙げ、「変わるのはあなたの生活です」と「政権交代」後をアピールしているが、外交・安全保障分野は重点政策に含まれていない。 具体策では、1人当たり年額31万2000円の子ども手当創設や公立高校の無償化、ガソリン税の暫定税率廃止などを掲げた。自公政権のもとで導入された後期高齢者医療制度、毎年2200億円の社会保障予算削減路線、障害者自立支援法はいずれも廃止するとしている。生活保護の母子加算の復活も盛り込んでいる。あわせて、これらの政策の実施時期と予算を示した2013年度までの工程表を提示。13年度には16兆円8000億円が必要になるとしている。

財源については、大型公共事業の全面見直しとともに、衆院比例定数の80削減、国家公務員総人件費の2割削減などを充てると主張している。独立行政法人についても全廃を含め抜本的に見直すとしている。
自公政権を終わらせる場合の財源問題の焦点は、自公政権のもとで引き下げられてきた法人税や所得税の最高税率の見直しである。しかし、見直しには言及せず、租税特別措置法による大企業減税を恒久措置化することまで示唆している。消費税については、「消費税を財源とする『最低保障年金』を創設」と明記。年金など社会保障予算と消費税を結びつける考えを示している。マニフェストを発表した記者会見で鳩山代表は、政権交代が実現した場合、4年間は消費税増税の議論を行わないとした自らの主張について「将来に関する消費税の議論を一切行うべきではないと曲解されたことは訂正申し上げたい」と述べ、消費税増税論議を行う姿勢を示した。
私は、消費税増税は当面の階級闘争の焦点であると考えている。新自由主義「構造改革」の矛盾が噴出し、財界・大企業の側も一定の手直しが必要だと感じているが、それが自分たちへの負担増となることは、何としてもあってはならない。消費税増税は、財界にとって一銭の負担も生じないという意味で、ベストである。国民にとっては、大収奪で低所得者ほど厳しいという意味で、最悪である。

「外交」では、冒頭に「緊密で対等な日米関係」と掲げ、日米同盟重視を強調する。日米地位協定は「抜本的な改定」をうたっていたが、「改定を提起」との表現に弱め、「現実路線」(幹部)を鮮明にした。米軍駐留経費などの負担について「不断の検証」と言っていたのを「引き続き見直しを進める」と和らげた。 インド洋での海上自衛隊の給油支援を続けるためのテロ特措法の延長には反対を表明していたのに、今回はその記述が消えた。海賊対策では、「適正な手続きで海賊対処のための活動を実施する」としている。
憲法問題でマニフェストは「改めるべき点があれば改めることを責任をもって提案していく」と同党が2005年にまとめた「憲法提言」をもとに改憲の合意形成を「慎重かつ積極的に検討していく」としている。

財界は、自民党が負けるのは仕方ないが、民主党が大勝して自分たちのコントロールからはみ出すことに不安をもっている。民主党と自民党が拮抗してお互いに政策協議が必要となれば、事実上の大連立であり、ベストである。われわれ国民の側から見れば、大連立は最悪である。国民にとっても民主党が大勝することは、不安である。共産党が躍進して、民主党が危険な諸政策を具体化する動きを起こしたさいに、それを許さない「防波堤」となってもらわないとこまるのだ

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1 コメント

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Unknown (ピンクレディ)
2009-07-31 04:22:36
昨日は鳩山発言の慌てぶりについて書きましたが、今度は自党の発表したマニフェストを「正式なマニフェストではない」と発言しました。舌の根も乾かないうちにマニフェストがマニフェストではなくなったり、マニフェストの追加があったりと何がなんだかわかりません。
正直言ってこれには驚きました。予想以上のブレまくりです。
麻生首相をブレたブレたと攻めてきましたが、ここにきて自らが大いにブレてきました。さすがブーメランと揶揄されるだけの政党であります。期待を裏切りません(笑)
マスコミによる追い風報道があるので民主党の優勢は簡単には変わらないと思いますが、こんな適当なことばかりの政党に国の舵取りを任せられないということを再認識しました。
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