プロメテウスの政治経済コラム

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前原外相  「思いやり予算」の名称変更をマスコミ各社に呼び掛け  「対米従属極まれり!」

2011-01-23 20:45:03 | 政治経済

かねてから、米国にもっとも好かれ、中国にはもっとも嫌われている政治家と言われる前原誠司外相。何を言い出すかと思ったら、米国政府が嫌がっているので「思いやり予算」という言い方をやめてもらえないかとマスコミ各社に協力を呼び掛けた。それも、日本の戦略的な判断で負担しているのだから、「思いやり」はニュアンスが違うととってつけた言い訳までもしてだ。外国と対等につきあうことは一国の外相の最低限の仕事である。日本国が、米国の保護国、属国であることを証明しているようなものだ 

 

前原外相は21日の記者会見で、在日米軍駐留経費の日本側負担が「思いやり予算」と呼ばれていることについて「米軍が(日本に)駐留し、ある程度必要な経費を日本が負担することは、両国の国益に資する戦略的な判断だ。『思いやり』という言葉はずれている」と述べた。その上で、今後は「接受国支援」を示す英語の「ホスト・ネーション・サポート(HNS)」を使用する考えを示し、マスコミ各社にも協力を呼び掛けた(「毎日」2011121日)

「思いやり予算」とは、言うまでもなく、“ある程度必要な経費”などではない。その都度、特別協定が必要なように、条約上の義務でもなんでもない。やめたからといって、アメリカから文句を言われる筋合いはない。やめないのは、大臣や役人が、自分たちが楽なように米国にいい顔をしたいだけである。

 

思いやり予算を英語で言えば、『Compassion Budget』(あわれみ予算)または『Generosity Budget』(気前よさ予算)あるいは、『Condolence Fund』(義捐基金)ということになるのだろうか。カネをもらっておきながら、最近米国は、保護国から“あわれみ”や“義捐”をもらい続けることに自尊心を傷つけられたのか、沖縄の人びとのように、日米政府がやっていることに他の日本国民も疑問を持ち始めたらまずいと思ったのか、「思いやり」を使わないよう日本政府に陰に日向に注意を促していた。米国にもっとも好かれている前原外相としては、早速、上述のような反応を示したというわけだ。

村野瀬玲奈さんが、面白い提案をしている。<「ホスト・ネーション・サポート(host nation support)」なんて、普通の日本人が簡単に覚えられる言葉ではありません。「思いやり予算」は俗称でしょうが、もうちょっときちんとした「在日米軍駐留経費負担」という言葉だって、すらすら言える日本人は珍しいでしょう。ですから、私は、これからは、「米国上納金」、あるいは「みかじめ料」とでも呼びましょう。>(http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-2243.html)。


「みかじめ料」とは、うまいこと言ったものだ。私は、思わず笑ってしまった。
 

しかし、「みかじめ料」で笑っておれないのは、21日、前原外相とルース駐日米大使との間で署名した「思いやり」についての新たな特別協定である。今年3月に期限が切れる現行協定にかわるもので、現行の3年の期限を5年(2015年度まで)に延長。米軍基地労働者の給与や基地施設・水道光熱費など年間約1900億円規模の税金を引き続き支払うことを約束した。新協定はまた、グアムをはじめ米軍機の米国領域への訓練移転費用も日本が負担することを新たに織り込んだ。明らかに沖縄の第3次嘉手納爆音訴訟を意識したものである。嘉手納基地を離着陸する米軍機の騒音に苦しむ周辺住民らが提訴の準備を進めている。原告団が2万人を突破し、実に約70人に1人の県民が原告に名を連ねる。まさに、現代の民衆蜂起だと言われている

これから、沖縄や本土の基地周辺では「負担軽減」の声は高まりこそすれ、弱まることはない。そこで米国は一計を案じた。

 

米軍機の米国領域への訓練移転費用の負担とは、沖縄・嘉手納基地のF15戦闘機のグアム(ハワイでもどこでも米国領域なら)での訓練、三沢(青森県)・岩国(山口県)両基地所属機の訓練移転などの費用を日本側負担とするということだ。これまで在日米軍機が必要に応じ行ってきた米国領域での訓練に「騒音軽減のため」という看板をつければ、日本が費用をもつことになるのだ。それどころか、現在、米アラスカ州で年4回行われ、自衛隊も参加する演習「レッド・フラッグ・アラスカ」に参加するF15戦闘機が、現地の到着時間に合わせて頻繁に深夜・未明に嘉手納基地を離陸。激しい爆音で住民生活に深刻な影響を与えているが、このような場合も「訓練移転」とみなせば、日本が米軍機の燃料費などを負担することになる。米軍の行動の自由に指一本ふれず、米本土の訓練にまで費用を出す――これが、前原外相のいう「ホスト・ネーション・サポート(HNS)」の中身だ。「対米従属極まれり!」ではないか。

 

 

 


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1 コメント

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Unknown (はんべ)
2011-01-24 18:19:10
こんにちは。すごく興味深いブログです。
ぜひぜひリンクさせてください。
政治経済、ニュース。その他を扱ってます。
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