プロメテウスの政治経済コラム

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菅首相が外交の大方針  ウィキリークスが明らかにする「戦後最も親米的」首相のパフォーマンス

2011-01-21 21:14:39 | 政治経済

菅首相が20日に都内の講演で「外交の大方針」を表明した。対米隷従の官僚の書いたものを読み上げるだけの話に「外交の大方針」もなにもあったものではないが、驚くべきはそれを24日から始まる国会の施政方針演説ではなく、その前に講演で行なったことだ。通常、外交演説は、いわゆる政府四演説の一つとして外務大臣によっておこなわれる。菅氏は何の為にこんなことをしたのだろうか。私は、これは、ウィキリークスが明らかにする「戦後最も親米的」首相の追い詰められたパフォーマンスとみるところが、その演説の中身たるや、空き「菅」、すっから「菅」の綽名に相応しく恐ろしいほど内容のないものだった。米政権は、エライもんを鳩山首相の後釜に据えたものだ

 

東京新聞 2011120日朝刊・「こちら特報部」は、「ウィキリークス」によって暴露された米国の外交公電を使って、米政権が鳩山―小沢民主党政権を切り捨てて菅・民主党政権を傀儡化しようとしていた証拠を明らかにした。私は、以前に米政権が鳩山―小沢に不信をもち、ジャパンハンドラーやマスコミ、官僚を使ってクーデターを起こしたことについて書いた。その際、私は、マイケル・グリーン(米戦略国際問題研究所上級顧問・日本部長)が日本經濟新聞に投稿した記事(「日本の現実路線に期待感」2010720日)を状況証拠として挙げた(http://blog.goo.ne.jp/e-hori/e/0fd32d34c032c14cd3331ba7889e3d48)。東京新聞は、在韓米大使館から本国へ送られた公電を使って、「戦後最も親米的」とさえいわれる菅政権は、どのように誕生したのかを明らかにしている[東京新聞 の「こちら特報部」の記事はウェブに公開されていないので、画像を掲げる
画像その1http://ch10670.up.seesaa.net/image/tokyo1-thumbnail2.JPG
画像その2http://ch10670.up.seesaa.net/image/tokyo2-thumbnail2.JPG]

 

「こちら特報部」(24面)の見出しは、ズバリ「米が望んだ菅首相?--漏えい公電お墨付き裏付け」であり、次ページの見出しは、「鳩山-小沢に不信感 基地・対中で思惑に沿わず」である。
そして、元外務省国際情報局長で元防衛大学校教授の孫崎亨さんのコメントを載せる。

ウィキリークスの公電が意味するのは、米国が鳩山首相(当時)と距離を置き、岡田、菅両氏を対話すべき相手と判断したことだ。「米国が同意したその後の『鳩山首相降ろし、菅首相誕生』のシナリオにつながった」。代わった菅政権。シナリオ通り、「米国にすべて丸投げしている」、「普天間飛行場の辺野古移転方針、日米共同統合演習の実施、在日米軍駐留経費(思いやり予算)の維持など、米国側の意向通りの施策を進めている」

菅首相が少々疲れたと言いながら、マニフェストを反故にし、消費税増税、TPP、小沢排除などに邁進するのは、米政権の傀儡として、それ以外の選択肢がないことを自覚しているからである。アメリカは菅氏に、長期政権が欲しければ言うことを聞けと言って聞かせたのだ。

天木直人さんがブログで書いている。<そんな演説は聞くまでもない。官僚や御用学者が書いた対米従属のてんこ盛りである。もうすぐ国会が始まり、国民の前で施政方針演説や外交演説を行なうはずなのに、それに先駆けて講演で対米従属大方針を発表する。どこまでも国民を愚弄した菅首相だ。まるで傀儡政権のごとくだ。しかし世界の歴史は証明している。国民よりも米国に顔を向けた傀儡の末路は国民の手で引きずり下されることを。そのまえに菅首相は身を処すべきである・・・

 

実際、菅首相の演説は、恐ろしいほど無内容だった(田中龍作「菅首相外交演説 原稿読み飛ばし20110120日)

昨年、国内世論の批判を浴びた対中国外交についても、もっと踏み込んだことを言うのかと思っていたが、見事に裏切られた。尖閣沖の中国漁船衝突事件を「極めて残念な出来事」としただけだった。後は「日本と中国は2000年以上つきあってきた一衣帯水の隣国・・・戦略的互恵関係の内容を深める努力が重要」などと一般論を連ねた。
対北朝鮮外交についてはさらにお粗末だった。「韓国延坪島への砲撃事件や核開発は北東アジア地域のみならず国際社会の安定と平和を脅かすものだった・・・」。ニュースを読んでいれば誰でも知っていることだ。そのうえで「日朝平壌宣言に基づき不幸な過去を清算し国交正常化を追及してゆく」とした。これまでの歴代の首相・外相が、ずっと言い続けてきたことではないか。
対ロシア外交に至っては開いた口が塞がらなかった。「我が国固有の領土である北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する・・・」などとした。日本政府が半世紀以上言い続けて来たことを、首相が「年頭外交演説」と題して改めて言うことだろうか。日本の首相とはそれほど暇なのか、と外国メディアから笑われるだけである。


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