プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

強まる消費税増税への大合唱  増税は必要だがやり方が間違っている!

2010-04-14 18:52:15 | 政治経済
財界総本山、日本経団連が消費費増税を迫っている。財界の意向を受けて、自民党が消費税増税をあおり、民主党がそれに応じる形で、まさに消費税増税への大合唱が始まった。鳩山政権の当初予算が92兆円の規模に対して、税収は37兆円に過ぎず、税収を超える44兆円の借金と残りを不安定なその他収入に頼っていることを見せ付けられたら誰でも増税は避けられないと思うだろう。確かに、将来は一般国民の負担増も必要となるだろうが、当面はムダな支出を削りながら、負担能力のあるところに負担を求めることだ。国民生活が疲弊しているときに、消費税増税は最悪である。

 任期中の消費税率引き上げを「封印」した鳩山政権が、増税路線にかじを切り始めた。菅直人副総理・財務相は13日、「(増税は)必ずしも景気にマイナスではない」と発言したほか、政府税制調査会は14日に学識経験者で構成する専門家委員会を開き、消費税見直しに向けた本格議論をスタートする。着々と増税への布石を打つ政府だが、その裏には消費税増税を「悲願」とする財界の思惑が透けて見える。
日本経団連は13日、新たな経済成長戦略に関する提言を発表した。それによると、持続的成長のためには税制・財政と社会保障制度の改革、健全化が不可欠として、消費税率を「2011年度から速やかかつ段階的に10%まで」引き上げ、社会保障費の増加分に充てるべきだと指摘。上げ幅としては「毎年2%ずつ」を例示、中期的な目標として「2020年代半ばまでに10%台後半ないしそれ以上」とすることを求めている(時事通信2010/04/13-16:21)。
経団連の狙いは、今回の提言を、政府が6月に策定する新成長戦略や中期財政フレームに反映させることである。

 財界の忠実な僕である自民党は、ますます消費税増税に固執し、国会で政府・与党にたいし増税をあおっている。同党の林芳正政調会長代理は1月26日の参院予算委で、民主党政権から消費税増税にむけた議論の提案があれば「応じる準備がある」と表明。谷垣禎一総裁は2月1日の衆院本会議代表質問で消費税増税にむけて、「3年間もの時間を空費している余裕はない」と強調し、政府・与党に消費税増税を協議するための「社会保障円卓会議」を設置することを呼びかた。これに積極的に呼応しているのが、菅直人副総理・財務相や仙谷由人国家戦略担当相である。
「増税の経済への影響を再検証している」。4月13日の閣議後会見で菅財務相はこう述べ、参院選前の増税論議をタブー視しない考えを強調した。仙谷由人国家戦略担当相も「今の税収のままならば(財政的に)壁にぶち当たる」と指摘、任期中の増税を凍結した鳩山由紀夫首相の方針転換の必要性に踏み込んだ(「産経」4月13日21時7分配信)。

 そもそも消費税は、収入が少ない人ほど負担が重い最悪の不公平税制だ。とりわけ、国民生活が疲弊し、国内経済が落ち込んでいるときに消費税を増税するのは、橋本不況の例を持ち出すまでもなく、根本的に間違っている。ましてや「消費税率を一刻も早く引き上げ、所得税の基幹税としての機能を回復し、法人税への過度な依存を改め(る)」などとうそぶく経団連の提言はもってのほかである。
今必要なことは、一方の極に蓄積された富を、その対極における貧困に対して再分配することである。2010年度の日本のGDP(国内総生産)見通しは約475兆円で、Japan as No.1といわれていた当時の1985年の1・4倍になっているのに、税収はほぼ同じ水準のままである。大企業に対する相次ぐ減税政策による法人税収の落ち込みと金持ち優遇による所得税減収がこういう税収減をもたらした大きな要因の一つであることは明らかだ。当時の法人税率は43・3%(現在30%)であり、個人の所得税・住民税合わせた最高税率は88%(現在50%)だった。

 山家悠紀夫「2010年、どうなる日本経済」(2010・1・30)講演資料より
歳入面では、いきすぎた大企業・大資産家優遇税制を改めること、歳出面ではムダな支出を削ること、もちろん5兆円近い軍事費にも手をつけることこそ、いま緊急にやるべきことだ。この「二つの聖域」にメスを入れて消費税に依存しないで暮らしを守るための財源を生み出しながら、将来的には一般国民の負担増も考えるということだ。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。