プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

「なくせ貧困!守れ雇用!」総決起集会 「ルールなき資本主義」から「ルールある経済社会」へ

2008-11-14 20:20:31 | 政治経済
「なくせ貧困!守れ雇用!生活危機突破!11・13中央行動」総決起集会が13日、東京・日比谷野外音楽堂で行われた。全国から約五千五百人が集まり、参加者はいっせいにプラカードを掲げ、「総選挙で国民本位の政治に変えるぞ」などと熱気につつまれた。
世界第二位の経済大国日本でいま、貧困と社会的格差の広がりが重大な社会問題となっている。一方で、反貧困の取り組みも、従来の福祉関係者を中心とした運動から、国民全体を巻き込む運動へと発展している。「ルールなき資本主義」から「ルールある経済社会」への第一歩、第二歩を踏み出せるか、きたるべき総選挙を前にして、日本の政治は大きな岐路にたっている。

中央行動・総決起集会であいさつした全労連の大黒作治議長は「悪政を国民的な反撃でやめさせ、暮らしと平和を守るために力を合わせよう」と強調。総選挙での政治の転換を呼びかけた。日本共産党の志位和夫委員長が連帯あいさつ。エッセイストの海老名香葉子さんが激励のことばをのべた。集会会場には、「仕事よこせ」「怒」などと書かれたプラカードやムシロ旗。青年や年金者、看護師、農民、業者ら各分野の代表が登壇し、窮状やたたかいを報告すると、参加者は声援や拍手で応えた(「しんぶん赤旗」11月14日)。

日本では、政府が貧困ラインを公式に設定せず、貧困調査を行っていないので、貧困者がどのくらいいるのか正確にはわからない。生活保護基準をもとにした後藤道夫・都留文科大教授の推計によれば、2002年で1105万世帯にのぼる。日本の総世帯数は、約5000万弱であるから、貧困世帯率は20%を超える(後藤他『格差社会とたたかう』青木書店2007)。
わが国では、昭和30年代からの高度経済成長の中で、「困窮」や「貧窮」といわれるような古典的貧困は影を潜め、一部の底辺の人びとを除けば、もはや貧困は解消されたと言われてきた。ほとんど気にもかけられずにいた貧困が、いま社会の焦眉の課題となってきたのはなぜか。なぜ貧困はみえなかったのか

「貧困」とか「格差」という言葉が一般マスコミでも大々的に取り上げられるようになったのは、2006年からである。一部の研究者や「赤旗」などは、「構造改革」の問題を早くから取り上げていたが、マスコミは「構造改革」が閉塞状況にある日本を切り開く切り札であるかのよう宣伝し、小泉・竹中を持ち上げた。
その結果、「戦後最長の経済成長」を謳歌したのは、一握りの多国籍大企業だけであり、中小企業や国民の暮らしは良くならず、貧困と格差がいよいよ深刻化し、ついに景気後退へと暗転した。

「構造改革」は日本社会の安定と自民党長期支配を支えてきた3本柱をことごとく破壊した
① 正社員を長期に抱え込み、年功処遇で企業社会に統合すること
② 自民党利益誘導型政治で、中小業者や地場産業、農村の面倒をみること
③ 企業社会に入らない、利益誘導型政治によっても救われない周辺的な人びとにたしてのみ脆弱な社会保障制度で対応すること
これらを、企業競争力の足枷としてことごとく切り捨てたのが、小泉「構造改革」であった。

それ故、深刻な貧困と格差を打開するためには、新自由主義の「構造改革」路線を転換し、人間らしく働けるルールを確立する、社会保障を削減から拡充へと転換し、暮らしをささえる、日本農業の再生、中小業者の営業、経営をまもる、民主的な税制改革などが重大で急務の課題となる。
「ルールなき資本主義」は、一方の極における「富の蓄積は対極における貧困の蓄積」(マルクス)をもたらす。大企業(資本金10億円以上)が5年間連続で史上最高の利益を上げる一方で、年収200万円以下の労働者は1600万人を超える。
「ルールある経済社会」は、資本にある程度の階級的妥協を求める、資本主義社会を国民的に制御する社会である。「新福祉国家」といってもいいだろう。なぜ「新」なのかは、次の機会に述べることにしたい。

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