プロメテウスの政治経済コラム

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消費税上げ  財界(経財諮問会議)が仕掛けた罠に国民を追い込む「朝日」社説

2007-10-24 18:47:50 | 政治経済
「試算」は小泉内閣の2006年版「骨太方針」を土台に、予算削減の規模と経済成長の高低に応じた「増税必要額」を明記。2011年度に国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する目標について、名目経済成長率を3.0%から2.2%に下げるなど前提を変えると、最大で6兆6000億円の増税が必要であるという。消費税率に換算すると2.5%程度の引き上げが必要となるというのだ。年末の税制改正や予算編成に向け、“消費税増税やむなし”の世論誘導を企図したものであることは、明白である。
「試算」が選択肢に挙げたいずれのケースにおいても、国の社会保障予算を2011年度まで毎年二千二百億円削る、容赦のない福祉切り捨て路線は、当然の大前提となっている。これには、舛添要一厚労相が経済財政諮問会議で、「歳出抑制にはほぼ限界がきている」と発言せざるをえなかった。柳沢伯夫前厚労相も参院選後、これ以上の国民負担増は「もうあり得ない」と言っていた。新旧大臣の発言は、「試算」の土台である06年版「骨太方針」は、社会保障のあらゆる分野に負担増と給付減が及び、このままでは立ち行かなくなっていることを示すものである。「試算」は中長期の数字も挙げ、2025年に14兆~31兆円の財源が必要で、それを消費税でまかなうなら、現在の5%を11~17%まで引き上げる必要があるとしている。大きな数字を持ち出して国民を脅し、ある程度の社会保障水準を維持したいなら、消費税増税しかないというところへ追い込む悪質極まりないやり方である(「しんぶん赤旗」10月24日)。

日本共産党の小池議員は、試算には「三つのからくりがある」という。「からくり」の一つ目は、「歳出削減」といいながら、対象にしているのが社会保障費だけだということである。小池氏は「軍事費も公共事業費も、名目成長率(2―3%)で伸び続けるという計算になっている。この計算でいくと、2025年には防衛費が八兆円を超えることになる。社会保障費のほかは一切、歳出見直しをしないというものだ」と批判した。二つ目は、こうしてふくらませた増税分をすべて消費税でまかなう計算になっていることである。小池氏は「税は消費税だけではない。法人税、所得税、資産課税だってある」と告発し、能力に応じた負担を考えるのが当然だとした。三つ目は、この試算が経済財政諮問会議の民間議員である日本経団連の御手洗会長らが内閣府につくらせた数字だということである。小池氏は「消費税を20%まで増税し、法人税を下げよといっている人たちが、自分たちに都合のいいシナリオを出したもの。こんなキャンペーンは絶対に認められない」と述べた(「しんぶん赤旗」10月22日)。

ところが、このキャンペーンを歓迎し、「日本は世界が経験したことのない少子高齢化の社会へ入っていく。高齢者が増えれば、かかる費用も大きくなる。・・・税金や保険料の引き上げを通じてその費用を引き受けるか、福祉サービスの引き下げに応じるか、どちらかしかない」と、財界(経財諮問会議)が仕掛けた罠に国民を追い込んでいるのが「朝日」社説である。民主党の基礎年金の税方式化については、「本当に消費税などの増税なしで実現できるのか、大いに疑問」であるという(「朝日」10月19日)。
社会保障の削減と消費税増税は日本経済の最大の弱点である家計を痛めつけ、消費を冷やす最悪の選択であり、国民経済循環を破壊するものである。財源といえば消費税しかないかのような議論は、財界の減税要求と歳出要求を聖域にし、犠牲をすべて国民に転嫁するものである。甘利明経産相が諮問会議に提出した資料によると、日本の労働者の社会保険料負担はスウェーデンの1・5倍などその高さが際立つ一方で、日本企業の法人税と社会保険料負担はスウェーデン、フランスの5、6割にすぎない。財界・大企業には負担の余力が十分にあるのだ(「しんぶん赤旗」10月24日)。

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