プロメテウスの政治経済コラム

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守屋氏証人喚問   日本版軍産複合体の行方

2007-10-28 20:43:47 | 政治経済

守屋氏は防衛官僚の生え抜きで、中央官庁としては異例な4年以上の長期にわたって官僚トップの次官に君臨、“天皇”とまで呼ばれていた。次官を辞めるさい、退任を迫った当時の小池百合子防衛相と対立、首相官邸に働きかけたことなどは、まだ記憶に新しいところである。「防衛」関係費は、毎年巨額の税金をつかいながら、不透明な部分が多く、かねてから疑惑視されていた。新型兵器の購入を続けてきた防衛省と軍需産業の癒着が、自民党防衛族議員とからんで日本型軍産複合体=政軍財の癒着の構造をつくりあげてきたことは、間違いない。守屋氏の疑惑を含め、軍需産業をめぐる政軍財の癒着の構造全体に徹底的にメスを入れることが国会に求められている。

守屋前次官をゴルフやマージャンで接待漬けにした「山田洋行」は、軍事・航空関係の専門商社で、防衛省のA級入札業者とされ、元専務は1969年の同社発足以来、軍需部門を一手に握ってきた。昨年オーナーと対立、部下を引き連れて新会社を設立し、その際航空自衛隊に新型輸送機(CX)のエンジンを納入する米メーカーとの代理店契約を奪い、防衛省との契約関係を続けた。一部の報道によれば、元専務が新会社を設立したあと、前次官は何の実績もない新会社への発注を防衛省に強く働きかけたといわれている。米メーカーとの代理店契約は、守屋氏の口利きで契約を奪うことを前提にしていたとも考えられる。これが事実とすれば、明らかな贈収賄事件である。「山田洋行」と防衛省との癒着関係は、接待だけではなく、天下りの問題もある。元専務も同省OBであり、衆院調査局の報告書によると、同社在籍の防衛省OBが13人(06年4月現在)で、社員数の8・9%に達する(日本共産党井上哲士議員・25日の参院外交防衛委)。

本日付「しんぶん赤旗」は、防衛省との契約額上位15社に、同省ОBが計475人も天下りしている癒着の構造を明らかにしている。上位15社は、軍事費契約額の七割を占めているほか、自民党に巨額の献金をしている。契約額一千億円以上の上位3社の平均ОB数は69・7人、日本電気など、3百億円以上1千億円未満の6社の平均ОB数は27人、二百億円未満の6社の平均ОB数は17・3人となり、天下りが多いほど、受注額も多いという相関関係が明らかだ。一方、自民党の政治資金団体「国民政治協会」への献金(06年)も、契約額トップの三菱重工業が3千万円はじめ、11社で1億8690万円となっている(「しんぶん赤旗」10月28日)。

米軍再編成は、単に基地の再編成だけではなく、アメリカの先制攻撃戦略に同盟国軍を動員することを前提としている。この方針のもと現在、米軍と自衛隊の一体化が急速に進んでいる。
1996年には、「日米安全保障産業フォーラム / The US-Japan Industry Forum for Security Cooperation(IFSEC)」が設立されている。米国と日本の軍需産業の主要企業が「対話を促進」し、「両国政府に対して提言を行なうために」設けられたもので、米国側8社と日本側12社で構成されている。IFSECの改訂「共同宣言」(2002年12月)は、「日米の防衛産業協力のあり方が、単なる供給者(米国)と顧客(日本)の関係から、将来の防衛システムの開発におけるパートナーシップを構築する関係へと発展していること」を共通認識とし、「この防衛協力の発展は、連携協力が市場での取引や調達という枠を超えて、将来の防衛装備のニーズの共有にまで及ぶに違いないこと」を確認している。
これまで憲法9条によってさまざまな制約を課せられて十全な発展をとげられなかった日本の軍需産業が、90年代に大再編を経た米国の巨大軍産複合体に積極的に結びつくことで拡大をはかろうとする姿勢が読み取れる。米国側は、日本のすぐれた「民生技術」を軍事転用することに戦略的な利益を見出しているのであろう。
彼らにとって、日本の「武器輸出三原則」、憲法第9条は最大の障害物である。われわれは、国民の血税を軍産複合体に吸い取られないためにも、憲法第9条を守り抜かねばならない。 

防衛省(2006年度)上位15社の契約額と自民党への献金、天下りの実態    <o:p></o:p>

         契約額  献金  天下り

          (億円) (万円) (人)

(1)三菱重工業    2776  3000   62

(2)川崎重工業    1306  500   49

(3)三菱電機     1177  1820   98

(4)日本電気      831   1800   40

(5)アイ・エイチ・アイ  446   ―    16

マリンユナイテッド

(6)富士通       441    1680   16

(7)東芝        423    2850   35

(8)石川島播磨工業   365    1090   34

          「しんぶん赤旗」10月28日より転載




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