プロメテウスの政治経済コラム

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沖縄辺野古新基地計画  住民に事実を隠蔽して何をするつもりか!

2007-10-29 18:15:50 | 政治経済
沖縄県の米海兵隊普天間飛行場(宜野湾市)移設問題をめぐる政府と県、名護市などの話し合いが普天間移設協議会を舞台に、11月上旬から再開されるという。福田首相訪米をにらみ、移設問題への取り組みをアピールしたい政府と、国との交渉で地元の意向を反映させたい沖縄県の仲井真弘多知事が対話再開で一致した。だが、双方の立場の違いは大きく、協議の道筋は描けていない(「 読売」10月28日12時9分配信)。
当然である。防衛省は8月7日、日米両政府が合意した新基地建設計画にかかる環境影響評価(アセス)の方法を示した「方法書」を沖縄県に送付し、県民に公告・縦覧を強いた。県や名護市はアセスの前提になる新基地計画そのものにそもそも同意しておらず、アセス「方法書」の縦覧場所の提供にも応じなかった。縦覧は同施設局やホテルなどを使って行われたのだ(「しんぶん赤旗」8月15日)。

「方法書」の中身はあきらかに詐欺的である。新基地の騒音被害は使う航空機によって当然異なる。米海兵隊のFA18などの戦闘機はどうなるのか、「方法書」はまったく明記していない。墜落事故が多い垂直離着陸可能の大型輸送機オスプレイの沖縄配備は確実なのに、これも明記していない。「米軍回転翼機及び短距離で離発着できる航空機」ですませているのは影響の大きさを隠蔽する姑息な意図がアリアリだ。飛行経路を示していないのはもっと重大である。住民の頭上をどう飛ぶのかは決定的な問題である。アメリカだけでなく日本政府も飛行経路について緊急時には「どういう方向からでも着陸することはありえる」(昨年11月7日衆院安全保障委員会、久間章生防衛庁長官=当時)と言っていた。それなのに「方法書」は飛行経路を示していないのだ(「しんぶん赤旗」同上)。

7割の沖縄県民が新基地建設に反対しているというのに、2014年の新基地建設に向けての作業をしゃにむに進める政府・防衛省の強権姿勢は、もはや日本国民の政府ではない。とくに重大なのは、安倍前政権も福田政権も、新基地が強大な基地機能を備えた最新鋭基地になる事実を県民に隠したまま、建設に向けた作業を進めようとしていることである。アセスが詐欺的内容であることは、最近発覚した米公文書でさらにはっきりした。新基地予定水域に生息するジュゴンの保護を米政府に求めて沖縄の関係者がおこした訴訟のなかで米政府が提出した公文書によれば、214メートルの岸壁の建設や戦闘機装弾場(CALA)の設置を前提に詰めの協議が行われたというのである。214メートルの岸壁というのは、海兵隊を戦場に運ぶ180メートル級の強襲揚陸艦が常時接岸可能な軍港施設ということだ。戦闘機装弾場の設置は、「移転」元の普天間基地にもない新たな機能の持込である日本政府は、米軍再編合意文書でこうしたことを書き込まなかったばかりか、環境影響評価方法書でもまったくふれないのは、県民だましの背信行為であって、とうてい許されるものではない(「しんぶん赤旗」10月26日)。

公文書は新基地建設にむけた環境アセスにも言及。水域のみの環境アセスを意図する日本側に対し、米側は辺野古ダム区域、シュワブ陸上区域など陸域でも環境アセスするよう「勧告」している。“陸地上空の飛行はない”という説明にこだわる日本政府を心配しているのだ。米軍の側からさえ、陸上部分も騒音が住民にあたえる影響を評価せよといっているにもかかわらず、アセス方法書には、陸上区域の調査もなければ、アセスの対象となる筈のふ頭や戦闘機装弾場の記載も一切ない。新基地建設の狙いが、沖縄の負担軽減に名を借りた基地機能の強化にあることを米側が教えてくれているのだ(「しんぶん赤旗」10月28日)。

国民をだましても、アメリカ政府と唯々諾々と合意することを優先する。こういう政府だから、米大使館が地代を10年も滞納して、今年12月の時効を迎えてオタオタしているのだ。 安保賛成派の諸君でも、余りの対米従属、日本国民軽視に怒りを覚えざるをえないだろう。

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