プロメテウスの政治経済コラム

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沖縄知事に仲井真氏 「ダメなものはダメ」といい続けることの大切さ

2006-11-20 20:43:54 | 政治経済
この十年余、沖縄は米軍普天間飛行場の移設問題で揺れてきた。今選挙では名護市辺野古キャンプ・シュワブ沿岸部へのV字形滑走路の建設案にどう対応していくかが問われた(「沖縄タイムス」2006年11月19日)。 糸数氏は「県外・国外への移設」を主張。この知事選は米軍基地の県内移設を認めるかどうかを問う選挙であり、沖縄の五十年先、百年先を占う重要な選挙だと訴えた。稲嶺県政の継承を掲げる仲井真氏は「県外移設がベストだが、県内移設もやむを得ない」との立場だ。県外移設には制約があるため現実的ではないと批判し、中央政府の意向に柔軟に対応する構えである。
経済振興への対応については、糸数氏は経済波及効果の大きい観光産業をリーディング産業と位置付け、地域活性化や各業種の連携につなげるとともに、第一次産業をベースにした沖縄の自立経済への道を切り開いていきたいと訴えた。仲井真氏は産業振興を前面に打ち出し、雇用創出による失業率の全国平均化や中小企業の支援強化、観光客千万人誘致などを公約に「経済の仲井真」をアピール。経済振興の手腕に対する信頼度を強調した。

8年前に稲嶺恵一氏を大田昌秀氏に替わって知事に選んだ頃から沖縄の「保革」の色分けがぼやけだしたといわれている。復帰後34年、「長い物には巻かれろみたいな生き方にウチナーンチュ(沖縄の人)は慣らされてしまった」のだろうか(糸数氏)。沖縄戦の悲惨な歴史の末の米軍の直接占領から、1972年に遂に祖国復帰を勝ち取った沖縄の人々は本土で政治逆流があるときでも常に革新であった。
いま普天間移設を口実に沖縄県内に新しい巨大基地が建設されようとしている。この基地は、米軍の世界戦略による海外基地再編成の一環であり、日本の防衛とはいささかも関係のないことは米軍占領の本質を知る沖縄の人々にとっては自明のことである。
それでも「朝日」、「沖縄タイムス」の出口調査によれば「新しい知事に最も力を入れてほしい点」は「経済の活性化」が56%、「基地問題」が28%と、ダブルスコアだった。そして「経済の活性化」を選んだ人のうち、仲井真氏に投票したのは67%、糸数氏には32%だった。基地収入や見返りの振興策に依存することに慣れ、「ダメなものはダメ」といい続ける革新の心に揺らぎが生じているのだろうか。とは言え、新知事に最も力を入れてほしい点が「基地問題」と答えた人は、84%が糸数氏に投票し、仲井真氏は 15%にとどまった。新しい基地をつくらせないという県民の思いもなお半数近く(糸数氏の得票率46.7%)あるのだ。

政治の世界で革新の旗色が翳んでいるのは確かである。社共の統一戦線が失敗し、社会党が支配勢力に取り込まれるなかで劇的に勢力を失ってしまった。共産党は、資本主義の枠内での日本改革論を主張しているのだが、社会主義・共産主義についての党の位置づけがマルクスに過度に依存したままで、社会主義・共産主義にアレルギーの強い日本国民の多数を獲得する方向になかなか進まない。しかし、資本主義の枠内でも、日本における保革を分ける対立軸がなくなったわけではない。『三つの革新共同目標』は依然として有効であり、世界の動向がそれを裏付けている
第一、「日米安保条約をなくし、非核・非同盟・中立の平和な日本を築く」という目標
第二、「日本の経済を国民本位に転換し、暮らしが豊かになる日本をめざす」という目標
第三、「日本国憲法を生かし、自由と人権、民主主義が発展する日本をめざす」という目標

私たちは、「ダメなものはダメ」といい続けるなかで、これらの三大目標を草の根から具体的で実現可能な政策に仕上げていくことが必要である。階級社会で、政府が支配階級の手にある限りいつまでたっても私たちは、人生の主人公にはなれない。世の中は必ず変わるし、変えなければならない。

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