プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

自民党の歴史的使命と日本の変革  日本における「チェンジ」とは何か

2009-01-06 20:26:04 | 政治経済
「郵政で得た」議席を頼りに、9条改憲作業へ踏み出し、自衛隊の海外派兵を継続し、「構造改革」という名の貧困と格差拡大のうえでの多国籍大企業繁栄路線を推し進めてきた自民党。その詐欺的な自民党政治への国民の憤懣と見限りによって自民党はいよいよ窮地と行き詰まり、混迷のただ中にある。自民党は、いまや、内外でその存在意義までが問われている。さらに、日本を取り巻く米国と世界がいま大きく変わりつつある。われわれが考えなければならないのは、そうした米国を含めた世界情勢の変化の中で、歴史的な意味を踏まえ、日本にも本当の 「チェンジ」 を創っていかなければならない、ということだ。

自民党の存在意義について、テレビ朝日「サンデープロジェクト」司会の田原総一郎氏は「自民党の時代は終わった。なぜか。日本は共産主義の国にしない、生活を欧米並みにする、日米安保で日本を守る、と三つを1990年までに終わらせた。それで自民党は消費期限切れの政党になった」(12月11日、中川秀直自民党元幹事長のセミナーでのスピーチ)と語った。
党の内からは、加藤紘一元自民党幹事長が「自民党はなぜいままで結党以来53年も政権を持ってたか。第一は、この国を社会主義、共産主義化させないというテーゼ。もう一つは高度経済成長でアメリカ的豊かさを手に入れようというフレームワーク。その歴史的使命は1990年ごろ終わった。ミッション・フィニッシュド(使命は終わった)。その段階で自民党はだんだん消えていくべきものだった」(12月3日、聖学院大学での講演)と語っている。

反共と高度経済成長の路線とは日米軍事同盟を中軸にする対米従属と日本型開発主義国家のことである。
90年代から21世紀始めの小泉・竹中「構造改革」によって、日本型開発主義国家は、新自由主義国家にほぼ改造を終えた(更なる規制緩和、道州制などまだ道半ばの面もあるが)。民主党が自民党に対抗して新自由主主義「構造改革」を競うのは、この役割はもともと自民党本来のものではないということを端的に示すものだ。だから小泉は「自民党をブッ壊す」必要があった
日米軍事同盟は、日本側にとっては、反共(ソ連や中共という共産主義国家による直接侵略と国内共産主義者による間接侵略の脅威に対抗すること)が本来の役割であった。冷戦時代が終わったあと、「安保再定義」が行われたのは、当初の日米安保の役割が終わったということをこれまた端的に示すものである

ところが、昨年来の情勢の激動は、財界本位の新自由主義「構造改革」や「安保再定義」による日米安保にどのような影響をもたらしているか。
昨日、日本共産党の党旗びらきで志位委員長がおもしろい指摘をしている。志位氏は、財界・大企業とアメリカという自民党政治の「二つの司令塔」が進めてきた路線がどちらも「大きな破綻に直面している」と指摘。「ここに自民党政治のこれまでにない深刻な危機の根源がある」という。

財界・大企業という「司令塔」の直面している破綻については、「ルールなき資本主義」の上に、大企業のもうけを野放図に追い求める「新自由主義」を極端にまでおしすすめてきた結果だと強調。「労働のルールの破壊」とともに「外需頼み」「外資頼み」という対米従属の経済・市場構造をつくってきたことが、日本経済に異常なゆがみともろさをもたらし、前例のない急激な景気悪化と国民生活の未曽有の困難をもたらしていると述べた。さらに志位氏は、財界・大企業が先の見通しを失い、国民からも孤立しつつある一方で、「ルールなき資本主義」を正そうという日本共産党の綱領的展望が広く共感を呼ぶ状況が生まれているとして「ルールある経済社会」に前進するための情勢の変化を語った

志位氏は、もう一つの「司令塔」―アメリカについては、その覇権主義が「軍事でも経済でも大きな破綻に直面し、終焉に向かい始めている」と指摘。覇権主義の破綻の軍事的な面ではイラク戦争の失敗を、経済的な面では「カジノ資本主義」の大破綻をあげた。志位氏は「昨年は覇権主義に代わる新しい世界秩序への大きな流れがいっそう広がった年ともなった」と述べ、東南アジアや中南米・カリブ海での平和の共同体づくりの動きを紹介。ここでも、綱領が指し示す方向への日本の針路の大きな転換―「アメリカいいなりからの脱却」という展望が、差し迫った課題となる情勢が進展していると述べた

こうしてみてくると、日本での 「チェンジ=変革」 の分岐点は、政策面からいえば、市場主義と競争社会を進める 「新自由主義政策」 か、「平等」 と 「連帯」 による国民本位の 「新しい福祉社会を求める政治」 か、あるいは、「日米軍事一体化」 「自衛隊海外派遣」 という日米軍事同盟強化の道か、それとも、あくまで 「武力による平和」 を拒否し、憲法に依拠して 「東アジア共同体構想」など、近隣の「諸国民の公正と信義に信頼して」、安全と生存を保つ外交政策かということになるだろう。政党レベルでいえば、「自民対民主」ではなく、「自民・公明・民主」 対 「共産」ということなのだ

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