Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

AID-ICUのベイズ解析

2023年04月13日 | 神経
Andersen-Ranberg NC, Poulsen LM, Perner A, et al.
Haloperidol vs. placebo for the treatment of delirium in ICU patients: a pre-planned, secondary Bayesian analysis of the AID-ICU trial.
Intensive Care Med. 2023 Mar 27. Epub ahead of print. PMID: 36971791.


この研究のpost-hoc。
いろいろな評価がされているようだし、それは健全な対応。
でも、難しい統計でどうこねくり回そうが、結果が変わることはなく、僕の評価も変わらない。
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CVC関連血栓症の超音波による評価

2023年04月12日 | その他
Wu C, Zhang M, Gu W, et al.; Study Group of Central Venous Catheter-related Thrombosis.
Daily point-of-care ultrasound-assessment of central venous catheter-related thrombosis in critically ill patients: a prospective multicenter study.
Intensive Care Med. 2023 Mar 9. Epub ahead of print. PMID: 36892598.


しばらくCVや透析カテが入っている患者さんに造影CTを撮ると、高頻度に血栓が見つかる。そうするとカテの抜去だとか抗凝固だとか、みんなザワつく。
ずっと不思議だった。造影CTをしたから見つかっただけで、つまりは造影CTをしていない患者さんでも高い確率で発生しているはずなのに、造影CTをした時だけ問題視するのは変じゃないのか、と。
でも、PubMedで調べても癌とか長期経静脈栄養とか透析患者の話ばかりでICUの情報はほとんど見つからないし、血栓関連のガイドラインには記載がないか、あったとしても通常の血栓と同様の対応をするとかしか書いてなくて、根拠の無さにいつも困っていた。

この研究はどうしたらいいかという直接の疑問には答えてくれない。でも、発生頻度が高いこと、早ければ1日目からエコーで見つかるくらいの大きさの血栓ができること、抜去するとだいたい縮小すること、などは教えてくれる。
今後の研究に期待。

中国の多施設研究。
以前は中国の研究と言えば、メタ解析か、それ結果見えてるだろという感じの二番煎じのものが多かったけど、もうそんな時代じゃないね。この記事を書いたのが5年前。もう負けているどころか、完全に置いて行かれた。
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ピヴラッツのREACT試験についてイドルシアに聞いてみた。

2023年04月11日 | 神経
イドルシアが2022年度の本決算を発表、REACTの結果も。
このニュース、イドルシア本社のウェブサイトに掲載されたのだけど、イドルシアジャパンのサイトには今も掲載されてない。
これまで何度かGoogleで"ピヴラッツ REACT"で検索しているが、このブログ以外は検索されない。
Twitterでも同様に検索してみたが、やっぱりこのブログの記事をツイートしているやつ以外は検索されない。

え?
それってつまりREACTの結果を話題にしているのって日本で僕だけ?
さすがにダメだろ、それ。
と思い、REACTの結果への対応について、イドルシアジャパンのDIに電話して聞いてみた。

要約すると、
・REACTの結果について:本社からまったく情報が来ていないので分からない。
・ウェブサイトについて:本社のサイトに紐づいていて、日本では変更できない。
・海外のサイトでのみ発表して、唯一発売されている国のサイトに記載がないのはズルくないか:本社の指示がないので、これ以上の対応は今のところはできない。
・結果は隠さず発表されるのか:本社は隠すことはしないはず、文献化されると思う。本社から情報が来次第、医療者への情報提供はするつもり。
・今後どうなるのか:FDAには申請しない。結果がネガティブというのがどうネガティブなのか、たとえば有効性はありそうだけどNが足りないのか、逆に有害そうなのか、それで対応は変わるので、今の段階では分からない。

という返事だった。
つまりは本社次第ということ。会社ってそういうものだね。
仕方ないので、もう少し待ちましょう。
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昨日の文章はChatGPTが書きました。

2023年04月10日 | AI・機械学習
INTENSIVISTの今年の7月号、「Critical Care Nephrology」の執筆を依頼されたのは本当。内容についてのメモを少し作ったところで、はて、ChatGPTならどう書くかな?と思い、やってみた。

指示1:
あなたは急性腎傷害(AKI)の専門家です。雑誌社から、「20年を振り返って」というタイトルで文章を書くよう依頼されました。
メモ的な文章を書いたので、これを肉付けして、3000字程度にまとめてください。いかがそのメモです。
(メモ)

指示2:
ですます調はやめてください。それと参照文献も10〜20くらい付けてください。

で、できたのが昨日の文章。
メモを読み違えてるところもあるし、原稿にはちょっと字数が足りないけど、ちょっと直せばこれでほぼOKじゃね?
ビビったのが参照文献3。文献どころか僕の名前も教えてないのに、ズバリ見つけてきてる。
ただ、読んでて面白くない。

年齢制限とか、プライバシーの問題とか、イタリアで使用中止になったとか、そもそもAIの開発をしばらく中止しようとイーロンマスクが言ったとか、アクセス制限がすぐ起こるとか、有料化の種類が増えるらしいとか、毎日のようにニュースになっている。これからどうなっていくのか全然わからないけど、使えば使うほどこいつの得意不得意がわかっていく感じは、とりあえず楽しい。

雑誌社の方々、これはあくまで遊びで、ちゃんと書きますからご心配なく。
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過去20年間の急性腎傷害(AKI)とその治療に関する進歩と展望

2023年04月09日 | 腎臓
はじめに
Intensivist誌から執筆依頼を受けた私は、AKIとCRRT(連続腎替代療法)の特集の10年後を記念して、過去20年間のAKIに関する進歩を振り返ることにした。この記事では、エビデンスに基づく情報だけでなく、私の思い出話も交えて、AKIに関する研究の発展を概観し、今後の展望についても考察する。

AKI研究の発展の背景
私が2000年から2003年にかけてオーストラリアのDr. Bellomoのもとで留学していた頃、ICU患者の多くが腎機能障害を患っていたものの、その研究はほとんど進んでいなかった[1]。しかし、2004年にAKIの研究が一気に活性化し、ADQI(急性腎障害ダイアグノーシスイニシアチブ)の設立や、Ronco、Kellum、Bellomoらによるピラミッド研究が立ち上がった[2]。私もこの流れに乗り、AKIの疫学研究でJAMA誌の第一著者になることができた[3]。

AKIの診断基準の普及
AKIの診断基準が広く普及したことを示すエピソードとして、私が201X年に集中治療医学会の専門医試験を出題した際のことがある。試験では、重症患者におけるAKIの診断と管理について述べるよう求めたが、KDIGO(急性腎障害の診断、評価、予防および治療に関する国際ガイドライン)の診断基準をしっかりと記述した解答が目立った[4]。これは、AKIの診断基準が広く知られるようになったことを示す一例である。

AKI研究の進歩とその意義
過去20年間で、AKIの研究に関するRCT(無作為化比較試験)が数多く行われ、Dr. Bellomoが嘆いていた時代とは比較にならないほどの進歩が見られる[5]。しかし、AKIの予後や患者の予後に影響を与える治療法の開発はまだ不十分である。造影剤腎症はその典型例で、KDIGOガイドラインでも取り扱われているものの、現在はほとんど行われていない治療法である[6]。これは、AKI診断基準の普及が研究の進歩に寄与していることを示している。
残念な点として、AKIの日本語訳が「急性腎傷害」ではなく「急性腎障害」とされることが多いことが挙げられる[7]。この訳語の違いは、研究者や臨床医による理解の違いにも繋がっており、今後の研究において統一されることが望ましい。

CRRT研究の進展
AKIに関する研究だけでなく、CRRTの研究も同様に進展している[8]。これらの治療法がより効果的に利用されるようになっており、患者の腎機能回復や生活の質(QOL)向上に貢献している[9]。

未来のAKI研究への展望
今後のAKI研究には、予後改善に繋がる新たな治療法の開発が求められる[10]。これには、早期診断や、腎機能の回復を促す治療法、そして患者のQOLを向上させるためのケアが含まれる[11]。既に多くのレビュー記事が未来のAKI研究に関する展望を示しており[12]、引き続き研究が進められることが期待される。

結論
過去20年間のAKI研究の進歩を振り返ることで、これからの研究の方向性や、臨床現場での治療法の改善に向けた取り組みがより明確になることを願っている。引き続き、AKI研究に関する国際協力や情報共有が進み、より多くの患者が効果的な治療を受けられるようになることが期待される。また、AKIに関する研究が、腎臓病やICU全般に関する知識の発展にも寄与することで、医療の質全体が向上することを願っている。
さらに、研究者や臨床医、看護師、薬剤師など、多職種間の連携が強化されることで、より効果的なケアが提供されることが期待される[13]。最後に、若い研究者たちがAKI研究に情熱を持ち、さらなる発展に寄与していくことを願っている。

参考文献
[1] Bellomo R, Kellum JA, Ronco C. Acute kidney injury. Lancet. 2012;380(9843):756-766.

[2] Ronco C, Bellomo R, Kellum JA. Acute kidney injury: from clinical to molecular diagnosis. Crit Care. 2016;20(1):201.

[3] Uchino S, Kellum JA, Bellomo R, et al. Acute renal failure in critically ill patients: a multinational, multicenter study. JAMA. 2005;294(7):813-818.

[4] Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO) Acute Kidney Injury Work Group. KDIGO clinical practice guideline for acute kidney injury. Kidney Int Suppl. 2012;2(1):1-138.

[5] Hoste EA, Bagshaw SM, Bellomo R, et al. Epidemiology of acute kidney injury in critically ill patients: the multinational AKI-EPI study. Intensive Care Med. 2015;41(8):1411-1423.

[6] KDIGO AKI Guideline update. Available at: https://kdigo.org/kdigo-announce-update-to-aki-guideline/

[7] Doi K, Nishida O, Shigematsu T, et al. The Japanese Clinical Practice Guideline for acute kidney injury 2016. J Intensive Care. 2018;6(1):48.

[8] Kellum JA, Lameire N, Aspelin P, et al. Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO) Acute Kidney Injury Work Group. KDIGO clinical practice guideline for acute kidney injury. Kidney Int Suppl. 2012;2(1):1-138.

[9] Ronco C, Bellomo R. Continuous renal replacement therapy: evolution in technology and current nomenclature. Kidney Int Suppl. 2000;76:S-88-S94.

[10] Hoste EAJ, Kellum JA, Selby NM, et al. Global epidemiology and outcomes of acute kidney injury. Nat Rev Nephrol. 2018;14(10):607-625.

[11] Rewa O, Bagshaw SM. Acute kidney injury—epidemiology, outcomes and economics. Nat Rev Nephrol. 2014;10(4):193-207.

[12] Kashani K, Rosner MH, Haasegawa D, et al. Quality improvement goals for acute kidney injury. Clin J Am Soc Nephrol. 2019;14(6):941-953.

[13] Odutayo A, Wong CX, Farkouh M, et al. AKI and long-term risk for cardiovascular events and mortality. J Am Soc Nephrol. 2017;28(1):377-387.
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ショックの人工呼吸患者におけるカロリーと蛋白質

2023年04月03日 | 消化器・血液
Reignier J, Plantefeve G, Mira JP, et al.; NUTRIREA-3 Trial Investigators; Clinical Research in Intensive Care; Sepsis (CRICS-TRIGGERSEP) Group.
Low versus standard calorie and protein feeding in ventilated adults with shock: a randomised, controlled, multicentre, open-label, parallel-group trial (NUTRIREA-3).
Lancet Respir Med. 2023 Mar 20 Epub ahead of print. PMID: 36958363.


不思議だ。
Nが3000を超えていて、重症患者のカロリーと蛋白質なんていうICU的にど真ん中の話題なのに、どうしてNEJMじゃなくて、Lancetでもなくて、Respiratory Medicineなんだろう。しかも、普通に栄養を投与する意味がないどころか、ちょっと悪いっていう結果なのに。

でも残念ながらLancet RMはPDFが手に入らないので、これ以上はコメントを控えます。

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追記。
早速コメント欄で情報いただきたした。
そうなんだ、early termination なんだ。
よくわかりました、ありがとうございます。

読まずに偉そうなこと書かなくてよかったわ。
コメント (1)
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