Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

人工呼吸患者における主観的および客観的な生存率の予測

2023年04月28日 | ICU・システム
Boeck L, Pargger H, Schellongowski P, et al.
Subjective and objective survival prediction in mechanically ventilated critically ill patients: a prospective cohort study.
Crit Care. 2023 Apr 19;27(1):150. PMID: 37076881.


961例の人工呼吸患者の28日と1年後の生命予後を予測。主観による予後予測のAUROCは、ナースが0.74、 ジュニア医師(定義不明?)が0.78、アテンディングが0.76で、客観的な指標と同程度だったが、主観的予測は高リスク群の死亡率を20%ほど過大評価した。

入室24時間のデータのみを利用した重症度スコアでもAUROCは0.8の後半は普通あるので、研究全体の予測精度が低いのは不思議。
職種によって予測精度があまり変わらないのは面白い。それぞれ異なる情報を持っているのが理由かも。

でも何よりも、主観的な予測が死亡を過大評価(死なない人でも死ぬと予測する)するのは問題だと思う。
APACHEやSAPSは臨床利用するな、が前提。でも実際はそれと同程度の主観予測に基づいて治療継続するかどうかの方針を決定している。それって望ましい形なのだろうか?

で、実は自治さいたまでは客観的な予後予測の指標を今月から臨床で使用し始めた(重症度スコアとかSOFAとかじゃないよ)。
色々理由があって具体的なことは話せないので、知りたい人は自治さいたままでお越しください!
コメント
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