Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

看護師同士の親密度と重症患者における死亡率

2023年04月26日 | ICU・システム
ちょっと珍しいタイトルだったので、ジャケ買い(タイトルだけでPDFをダウンロードすること)した。

Duclos A, Payet C, Baboi L, etal.
Nurse-to-Nurse Familiarity and Mortality in the Critically Ill: A Multicenter Observational Study.
Am J Respir Crit Care Med. 2023 Apr 15;207(8):1022-1029. PMID: 36219472.


研究の内容自体はちょっと理解できない部分あり。過去に同じ勤務をしたかどうかが今回の勤務中の患者死亡と関連があり得るのか、ちょっと疑問。

結果とは別に、思ったこと。
こういう研究をやろうと思うためには、ナースがICU患者の予後に影響を与えることが前提となっている。そうでなければ親密度で予後が変わるだろうかなんて考えない。
それ自体は全く同感。実際に患者さんに医療を提供しているのはナースだし、もっとも近くにいて観察しているのもナースなのだから。
でも、日本のICUナースの何割がそう考えているだろう?

20年前、オーストラリアのICUで働いていた時に、40代のナースが、「自分たちの仕事はダメな医者から患者さんを守ることだ」と言っていた。それを聞いた時はまだ僕も若く、イマイチ理解できなかったが、今は完全に理解できるし、完全にその通りだと思う。

ICUで働くナースの皆さん、
あなたの仕事は与えられた業務をこなしておしまい、という仕事ではありません。その質が患者さんの予後に直結します。
責任も大きいけど、その分やりがいも大きいはず。
ムカつく医者もいるし、ダメな医者もいるし、他にもストレスはたくさんあるけれど、どうかよろしくお願いします。
コメント
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