Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

日本の消化管穿孔術後のPMX

2014年04月22日 | 消化器・血液
Iwagami M, Yasunaga H, Doi K, et al.
Postoperative polymyxin B hemoperfusion and mortality in patients with abdominal septic shock: a propensity-matched analysis.
Crit Care Med. 2014 May;42(5):1187-93. PMID: 24365858.


日本のDPCデータを用いた後ろ向き研究。下部消化管穿孔で入院当日に手術を受け、ドーパミンかノルアドを必要とした2925例が対象(当日か翌日に死亡した症例は除外)。そのうち642例が当日か翌日にPMXを受けた。PMXを受けた症例と受けなかった症例をプロペンシティスコアを用いてマッチングした結果、590例ずつが対象となった。28日死亡率はPMXが17.1%、非使用群が16.3%(p=0.696)。いろいろサブグループ解析しても同様の結果。全例を対象として普通に多変量解析してもオッズは1.1で有意差無し。

結果はさておき。
下部消化管穿孔で手術をしてショックになった患者さんのうち22%がPMXを受けたという数字は始めて見た。多いか、少ないか、うーん。
それと、なんとドーパミンが80%以上に使用されていた。こっちの方が驚きだったりして。まあ、2007年から2011年のデータなので、許してあげるか。
いや、ちょっと待てよ?
普通に多変量解析をすると、死亡率に対するノルアドのオッズ比が1.42(p=0.043)。そっか。ノルアドは体に悪いんだね。

ちなみにこの文献のエディトリアルを書いているのはDr Cruz。
あのJAMAの文献のfirst authorであらせられます。
そのDr Cruzが、
In Japan, PMX is often used in postsurgical patients who are on noradrenaline or dopamine and that this population overall has a reasonably good prognosis. PMX is clearly not beneficial in this type of patient.
と言ってます。

早く結果が知りたいな、これこれ
コメント
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