Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

ガイドラインはたくさんあった方が良い?

2014年04月05日 | EBM関連
Nagler EV, Webster AC, Bolignano D, et al.
European Renal Best Practice (ERBP) Guideline development methodology: towards the best possible guidelines.
Nephrol Dial Transplant. 2014 Apr;29(4):731-8. PMID: 24081866.


ガイドラインは有益だが、批判が多いのも事実。そこで、自分たちのガイドラインの質を向上するための方法をまとめました、というのがこの文章の主旨。
トピックを決めるところから、他の人達に内容を確認してもらうところまで、10ステップの方法が書いてある。

気に入ったのはこの文献のeditorial。

Denig P, de Zeeuw D.
New renal guidelines; is more better?
Nephrol Dial Transplant. 2014 Apr;29(4):720-1. PMID: 24449102.


上記の方法に対する疑問が述べられている。大事なことは良いガイドラインを作ることではなく、日々の臨床に役立てることであって、そういう意味ではこれらの方法が有益かどうか疑問である、と。
ガイドラインを診療に役立てるのが難しい理由として、
・ガイドラインを作る団体が多すぎる
・それぞれのガイドラインの推奨が異なる
・医療者も患者さんもいろいろな種類がある
・一つの疾患についてのガイドラインを複数の疾患を持つ患者さんに当てはめにくい
それよりも、大きな国際団体にいろいろな地域の人が集まって、まず一つのガイドラインを作り、その後で各subcomitteeが地域性などを考慮したオプションを追加する。そうすれば、
・お金も時間も無駄にならない
・ガイドラインの作成方法が統一される
・同じ病気に対して複数のガイドラインが出ない
などのメリットが得られるのでは。

賛成。実現は難しそうだけど。

もう一つ凄いのは、
ERBPって、このNDTっていう雑誌を出している母体の学会のガイドライン作成委員会みたいな団体じゃないだろうか。そこが出した文章に対する批判を同じ雑誌の同じ号に載せてしまうとは。

こういうの、好き。
科学的、論理的に、冷静に議論しましょうね、っていう態度。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする