Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

VAE vs. VAP in オランダ

2014年04月26日 | 呼吸
Klein Klouwenberg PM, van Mourik MS, Ong DS, et al.; MARS Consortium.
Electronic Implementation of a Novel Surveillance Paradigm for Ventilator-associated Events. Feasibility and Validation.
Am J Respir Crit Care Med. 2014 Apr 15;189(8):947-55. PMID: 24498886.


オランダの2施設で行われた前向き観察研究。電子カルテを用いてVAE(VACとかIVACとか)を診断。同時にVAPの診断もこれまでの方法で行った。2296例中、VAC, IVAC, VAE-VAP(VAPとVAEの両方を満たした), VAPの発生頻度は1000日あたり10.0, 4.2, 3.2, 8.0だった。VAP症例のうちVACと診断されたのは32%だった。死亡率のオッズ比は、3.9, 2.5, 2.0, 7.2だった。

VACとVAPの一致が乏しいのはこれまでの報告と同じだし、VAEのサーベイランスの基準はそもそもVAPを見つけるのが目的ではないし、別に構わないのだけど。

さすがに、VACよりもVAPの方が死亡と関連が強いとか、VAPとVACが一致した症例の死亡率がとても低いとかになってくると、VAEの基準って何?と思ってしまう。それに、IVACは言ってみたらVAP的な位置にあるはずなのに、単なるVAC(感染以外の理由で人工呼吸器の設定が悪化した)よりも死亡率が低いのであれば、IVACを減らす努力の意義も乏しくなってしまう。

VAPの診断は主観的で比較ができない。だからもっと客観的なVAEという基準で比較しよう。
そこまでは良かったけど。
VAEが思ったよりも死亡と関連が乏しく、かつVAEを減らす方法がなさそう(原因が雑多なので)となると、どうなんだろう。
そうそう、editorialにも書いてあるけど、一所懸命に人工呼吸器をウィーニングしようとすればするほど、元に戻す(設定が悪化する)頻度も増えるので、サーベイランスとしての意義(施設の質の比較)も難しいよね。

ちょっと、静観した方がよさそうなんじゃないかな。

あ。
そもそもVAEって何?という方は、こちらをどうぞ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする