Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

急性膵炎に対する動注療法

2013年11月18日 | 消化器・血液
たりらりらんのこにゃにゃちは(意味は無し)。

もう1ヶ月以上前にePubされているので、知っている人も多いだろうけど。
PDFになったのはつい最近なので。
Critical Careって、そんな雑誌。

Hamada T, Yasunaga H, Nakai Y, et al.
Continuous regional arterial infusion for acute pancreatitis: a propensity score analysis using a nationwide administrative database.
Crit Care. 2013 Oct 2;17(5):R214. PMID: 24088324.


日本のDPCのデータを使って、急性膵炎に対して動注療法を行ったかどうかで予後に違いがあるかどうかを比較。具体的には、2010年7月から2011年9月の間に急性膵炎で入院した21468例のうち、287例が動注療法を受けた(と思われる、アンギオしてタンパク分解酵素阻害薬とカルバペネムが投与されたので)。この患者群と、タンパク分解酵素阻害薬とカルバペネムが静脈投与投与された(と思われる、アンギオしていないので)1307例とをpropensity-matchingして、予後を比較。年齢、性別、意識(JCS)、膵炎の重症度分類、CTの重症度などを使ってmatchingできたのは207例ずつ。その結果、死亡率は同等(7.7% vs. 8.7%, p=0.72)、入院期間、コスト、そして介入を要する感染性膵壊死の頻度はすべて動注群で悪かった。

動注療法ってなんだ、とか、
どんな根拠があるのか、過去の研究はどんなものがあるか、とか、
で、結局は有効なのか無効なのか、とか。
それは各自、読んで考えましょう。

結果がどうこうというより、日本でもこんな研究ができるようになったことが嬉しい。
やっぱ、データベースは偉大です。

もちろん、これで何かが証明されたわけではなく。
DPCの弱点は、詳細な患者背景の情報が手に入らないこと。それを手に入れるには、やはり各施設でデータを取らないといけない。
そんな研究を、JSEPTIC-CTGでは企画中(多施設研究第六弾)。
興味のある方は、是非ご参加を。
コメント
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