Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

脳外科医はどの雑誌を読むべきか

2013年11月10日 | EBM関連
Journal of Neurosurgeryにこんなのがあった。ちょっと、見たことない研究。

Madhugiri VS, Ambekar S, Strom SF, et al.
A technique to identify core journals for neurosurgery using citation scatter analysis and the Bradford distribution across neurosurgery journals.
J Neurosurg. 2013 Nov;119(5):1274-87. PMID: 24032696.


・雑誌の数は7年で倍になる。2008年だけで、発表された文献の数は135万もある。
・Systematic reviewに含まれるべき研究のうち15%はPubMedでは見つけられない。
・医者が読む文献のうち、雑誌で見かけたものが79%、サーチして読むものが8%というデータもある。
つまり、各専門医にとって望ましい雑誌の選択がとても重要。ここまでがIntroduction。

で、実際に何をやったかというと、
・Impact factorおよびh-indexを用いて、脳外科雑誌のトップ10を選んだ。ただし、subspecialtyを対象とした雑誌は1つだけ選択。その結果、ほとんど共通していて、合計11の雑誌がピックアップされた。
・つぎに、ランダムに選ばれた3ヶ月(2012年の1月から3月)にその11の雑誌に発表されたすべての文献に参照されていた文献をピックアップ(22850個)。
・これらの文献が発表された雑誌をランキング。ただし、脳外科に関連した研究が定期的に発表されない雑誌は除外。

その結果、トップ6は、
1位 J Neurosurg(IF 4位)
2位 Neurosurgery(IF 6位)
3位 Spine(IF 7位)
4位 Acta Neurochir(IF 10位)
5位 Stroke
6位 J Neurotrauma(IF 2位)
だった。
で、結論は、impact factorやh-indexの順位の高い文献に読むべき文献(その後に参照される文献)が多く発表されるとは限らない。

アプローチが面白いな、と思って。
確かに、Impact factorとかはすべての読者にとってのものなので、各専門分野にとってその順位がそのまま重要な順位になるかどうかは限らない。
だれか、集中治療領域でもやってくれないかな。

ただ、この上位6つを読んでも、参照された文献のうち24%しか網羅しない。
雑誌の選択は重要だけど、それだけでは足りない。そしてこの状況は今後もどんどん悪化する。
さて。どうしたものか。
コメント
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