Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

経皮的気管切開による死亡

2013年11月19日 | 呼吸
Simon M, Metschke M, Braune SA, et al.
Death after percutaneous dilatational tracheostomy: a systematic review and analysis of risk factors.
Crit Care. 2013 Oct 29;17(5):R258. PMID: 24168826.


Ciagliaが経皮的気管切開(PDT)を報告した1985年以降に発表された、PDTについてのケースシリーズ/観察研究/RCTのシステマティックレビュー。全部で65例のPDTに関連した死亡が報告されていて、それぞれの著者とのコミュニケーションによりさらに3例追加され、さらにはこの研究の著者の施設の3例を合わせた、合計71例について検討。それぞれの著者にコンタクトをとり、実際のPDTの施行件数を調査したところ、死亡率は0.17%だった。31%が手技中、49%は施行後7日以内に発生。死亡原因は、出血38%、気道トラブル30%、気管の穿孔16%、そして気胸が6%だった。

PDTを行うと、600例に1例は気管切開に関連した合併症により死亡する。この数字は多いのか、少ないのか。

でも、”とりあえず気管切開しておこうか”というようなものではない、ことを認識するのは大事。
手技中に出血や気道でバタバタするし、
瘻孔形成前に抜けて入らなくなるし、
感染して首がパンパンに腫れるし、
慢性期に突然出血するし。
そして、600人に1人は死亡する。

そんなこと言ったら挿管したままにしておけばいいのかとか、CVやNGも合併症を起こすじゃないかとか。
思ってないよね?

いつも天秤。
何事も天秤。
慎重に天秤。
です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする