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ネフローゼ症候群の漢方治療 医案32 腎炎、腎不全の漢方治療160報

2013-06-29 00:15:00 | ネフローゼ症候群 漢方治療症例の実際(医

?莉芳氏医案 湿困脾土 昇降失司案(新中医1991年 第9期より)

                           

患者:李某 52歳 女性

入院年月日:ネフローゼ症候群Ⅱ型により、198284日入院。

診察所見

双下肢高度浮腫、指で押すと陥没する。悪心嘔吐、納差乏力、小便量少、毎日600ml、口干あるが飲みたがらない、口臭有り、大便は調、舌胖大、苔薄黄膩、脈沈濡やや数。

検査所見

24時間尿蛋白定量6.8g、血清アルブミン1.8g/dl、総コレステロール4102mg/dl

治療経過

初めに、健脾利水、清胃止嘔法として、春澤湯五苓散加人参)、五皮飲加竹茹、黄連、法半夏、蘇梗の4剤後、悪心は減少、尿量は1300mlに増加した。続いて、風寒により、腹張、腹瀉(下痢)毎日6回、生姜瀉心湯加厚朴、枳殻に改め、2剤後悪心、腹瀉は急速に止まり、食べる量も頗る増えた。

これ以降は、健脾行気利水の導水茯苓湯導水茯苓湯は四苓湯:澤瀉 猪苓 茯苓 白朮と五皮飲:桑白皮 大腹皮 茯苓皮 生姜皮 陳皮の合方加減)加味、及び毎週2回の食事療法―黄耆鯉魚湯をもって治療し、尿量は維持され1800ml程度、浮腫は漸消退、食欲良好、体力増進。

中医治療単独で治療すること3ヶ月余、24時間尿蛋白定量はゼロ、血清アルブミン値3.2g/dl、総コレステロール220mg/dl、再検査で寛解と判断され退院、今日まで再発は無い。

評析

湿困脾土、脾不行水、脾胃昇降失司、泌濁を分清できない状態である。治療は中焦から始め、健脾和胃、利水消腫が宜しい。両者は相矛盾することなく、互いに助け合う相成の関係であり、脾胃を治療することは水湿の運化に有利であり、滲湿利水は脾土の湿困を防ぎ、健運の機能を回復させる。

若し、単純に健脾して十分な利水を怠るか、或いは単純に利水しても推動無力であれば効果は優れたものにならない。本案では健脾利水、清胃止嘔法、及び健脾行気利水を前後して行うのはこの理にある。言えることは、氏は先賢の経験的基礎に立ち、腎病の特徴を根拠にして、食療方を併用した。黄耆鯉魚湯である。黄耆は健脾益気、昇陽摂精に作用し、浮腫の減軽と同時に蛋白尿が減少、或いは消除され、血漿蛋白を漸高させのは、黄耆の健脾昇清の効能によるもので、健脾昇清が蛋白尿消減に寄与するという中医治療の考え方は、さらなる研究に値するものである。

ドクター康仁の印象

急に超古典的な中医案が出現しましたね。ネフローゼ症候群の2型とは、中国独自の分類ですから説明は省きます。1型が微小変化群です。

評析では、難しそうなことを並べているようですが、中医基礎理論を繰り返しただけです。

本案は水腫論でもあり、尿量減少という意味では、腎不全の医案にしても成立します。勿論、腎炎の医案としても成立するでしょう。

但し例によって、腎機能のデータの多くはカットされ、ネフローゼ症候群の蛋白尿の程度と高脂血症のデータのみが記載されているのです。

データを揃えるということと、データを記載しないということは、どちらが医案として正しい道なのかでしょう。どちらも正しくないことは明白ですね。

データを全てさらけ出すという姿勢がなければ、いつまでたっても、「新中医」にはなれませんね。

但し、補薬としての黄蓍の多彩な功能については、評析の指摘するように。基礎的研究の発展が必要です。

清熱解毒剤ではありませんが、托毒の性質があり、活血化瘀剤ではありませんが、利尿消腫作用により脾虚水腫を改善する功能など、解析の発展が望まれるものです。

もう安息日 瞬時に去り行く1週間

気が付けば安息日を迎えようとしている今宵、東京駅とラベルされた瓶生ビールを飲もうとしたら、栓抜きが見当たらない、缶ビールのつけがこんな身近な災難になるとは、昔なら、堅強な下顎の前歯で軽く開けられたのに、もう、恐怖心が先に立ち、噛み付く勇気も無い。爺(じじい)の悟りか、「勇気とは恐怖心を乗り越える無謀なるもの也や」

2013629日(土)  記