李晏齢氏医案 気虚湿熱瘀阻案
(中華伝世医方より)
Key words: 小児頻回再発ネフローゼ症候群
患児:某男児 12歳
初診年月日:1974年10月7日
病歴:
全身の浮腫の軽重を繰り返し1年半になった。患児は常時、扁桃腺炎を患い、頭にはフルンケルがあった。1976年4月、眼瞼に浮腫が生じ、引き続き全身浮腫となり、某医院で腎炎と診断され、ペニシリン、プレドニゾン、双?克尿塞(hydrochlorothiazide)等の薬物治療を受け、症状は消失し退院となったが、すぐに再発し、再発すること3回に及び、ここ半年来、浮腫が逐漸加重した。
初診時所見:
顔面および全身の浮腫、頭部に数個の癤があり、扁桃腺は中度腫大、心肺に異常なく、腹部膨隆、腹水証(+)、陰嚢及び双下肢浮腫、脈緩、舌尖紅、苔白膩。
尿検査:蛋白(3+)WBC(3+)RBC(2+)
血液検査:WBC20100(好中球88%、リンパ球12%) 血清総蛋白4.1g/dL、アルブミン1.3g/dL、グロブリン2.8g/dL、総コレステロール390mg/dL、BUN 20mg/dL。
診断:難治性ネフローゼ症候群 腹水合併
治療と経過:
入院後直ちにステロイド、シクロフォスファミド及び益腎湯(生黄耆15~30g 石葦15~30g 玉米須30g 白茅根30g 川芎9g)の総合治療を行い、2週後に浮腫は消退、食欲好転、2ヵ月後には尿蛋白(-)、各種検査正常となり、プレドニゾンは減量し、シクロフォスファミドは中止し、中薬を基本方とした。継続服用6ヶ月、1975年7月に停薬した。以後現在に至るまで15年余、再発はない。
評析
難治性の腎病の機理は複雑で、病程は長く、中薬治療の単用では、効果は比較的緩慢である。本案では西洋医結合治療を採用し、迅速に病情をコントロールし、その後中薬治療単用で再発を防いだ。このような中西医結合治療は大変有効であり、標本兼治の効能は、現今の臨床で多く応用されるものである。
ドクター康仁の印象
白血球増多20100に関しては、何のコメントも有りませんが、抗生物質は当然使用したのでしょう。カルテから起稿する際に見逃したのでしょうね。ともかく15年間、再発が無いのですから「結果は満点」です。尿中のWBC RBCはどのように変化したのでしょうね。気になりますが、「結果は満点」ですので、記載無しでも良しとしますか。
2013年6月5日(水) 記