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ネフローゼ症候群の漢方治療 医案24 腎炎、腎不全の漢方治療152報

2013-06-20 00:15:00 | ネフローゼ症候群 漢方治療症例の実際(医

何世英氏医案 脾腎陽虚 水気泛濫案 キイワード:小児ネフローゼ症候群 

(何世英小児科医案より)

何世英氏は1912年生まれ 名老中医 天津市人 内科小児科中医 小児科の医案が多い。

患児:高某 12歳 男児

入院年月日1971216

病歴

腎病半年治癒せず、今回は2度目の入院。入院後10日以降水腫が加重、33日に重度な水腫となる。腹張如鼓(腹水)、陰嚢腫大光亮、納呆、腰酸四肢無力、冷えを感じることが有り、大便やや溏、便通一日一回、西洋利尿薬は始終未停。

初診時所見:(1971313日)

病情は同上、面色淡黄、舌質不潤、脈象沈滑無力。尿蛋白4+。

印象:ネフローゼ症候群

弁証

脾腎陽虚、水気泛濫、先ずは治標利水を行い、再度、温補脾腎を考慮する。

処方

生麻黄6g 雲南茯苓12.5g 大腹皮12.5g 桑白皮12.5g 生姜皮4.7g 新会皮9g(橘皮) 水煎100ml 4剤。

327日再診

水腫全省、食欲やや増加、大便正常、尿量増加、冷感あり、脈沈細無力。湿邪は既に除かれ、続いて温補肝腎が宜しく、金匱腎気丸加減にて治療する。

処方

酒熟地125g 澤瀉9g 車前子9g 山薬25g 黄精9g 川牛膝9g 粉牡丹皮6g 山茱萸9g 何首烏15.6g 制附子4.7g 白朮9g 肉桂末1.6g(冲服)。水煎服用。

425日再診

精神食欲良好、面色紅潤、水腫無く、腹水無く、舌象正常、脈沈細以前よりやや有力。三回の尿検査で尿蛋白微量。上方加減継続服用。612日二度の尿検査で正常。退院となった。

評析

何氏は腎病水腫の治療にあって、主に“皮水”の治療を参考にし、健脾化湿、理気消腫を主として五皮飲加減を主用する。金匱要略 水気篇 “外証腫、之を按じて没指、悪風せず、其腹如鼓、不温、当発其汗”にあるが如く、水腫中、中西治療効果が不良な時に、何氏は五皮飲を基礎にして麻黄を加え、発汗利消腫を行い、往々、良好な治療効果を得ている。

ドクター康仁の印象

五皮飲は桑白皮 大腹皮 茯苓皮 生姜皮 陳皮が原方ですが、茯苓皮を連皮茯苓や、茯苓そのままを使用します。陳皮が橘皮(新会皮)にされています。

第二方の金匱腎気丸加減は済生腎気丸(牛車腎気丸 済生方)加減です。

牛膝 車前子 制附子 肉桂 熟地 山薬 山茱萸 澤瀉 牡丹皮 茯苓から、茯苓を除いている理由は不明です。弟子が医案作成時に見落としたのかもしれません。黄精 何首烏 白朮を加味してありますね。黄精は脾気を脾陰とともに補うことができ、滋陰薬でありながら補脾益気に作用し、何首烏は補益精血に、白朮は益気健脾 燥湿利水に働きます。

医案の「続いて温補肝腎が宜しく、」は「温補脾腎」の間違いです。弟子の出来が悪いとこのような医案になります。

この症例も文化大革命の真っ最中の症例ですね。西洋利尿薬のみで、ステロイド治療は無しのような印象を与える記載ですが疑問は残りますね。隠蔽の意図があるやもしれません。あたかも、中薬治療のみで改善したように編集されていますのでの、中医案として成り立つのでしょう。

それにしても中途半端な薬剤の量ですね。一銭3.3gから換算した結果でしょう。

五皮飲も済生腎気丸も言わば、ありふれた方剤です。

前者に加味麻黄、後者に加味黄精 何首烏 白朮の中医の匙加減という意味で、紹介しました。

台風がやってくるとか?

子供の頃は学校が休みになるので台風は怖くもあり、楽しみでもありました。

現在では、「台風につき本日休診」というわけにはいかないので、明日は開店休業を覚悟しましょう。

2013620日(木)  記