?振声氏医案 脾虚挟瘀 湿鬱化熱案(名医名方録より)
Key word ネフローゼ症候群ステロイド減量後再発
?振声経験方:加味当帰芍薬散
患者:王某某 24歳 男性 外来症例
病歴:
ネフローゼ症候群で他の病院で、ステロイド治療を受け、尿蛋白は陰転したが、プレドニゾン減量し15mg/日になった時点で再発、尿蛋白は(4+)。顕微鏡検査で尿中WBC4~6、RBC0~2、顆粒円柱0~1であった。患者はステロイドの増加を望まず、中医治療を要求した。
診察時所見:
満月様顔貌、顔面の痤瘡(ニキビ)が多く、下肢に浮腫あり、食べられるが腹張があり、大便の回数はやや多く、1日3回、尿黄、脈弦滑やや数、舌質やや暗紅。
中医弁証:
脾虚挟瘀、湿鬱化熱
治療とその経過:
加味当帰芍薬散加白花蛇舌草 石葦 知母 黄柏を与えたところ、2週後諸症が消失し、尿蛋白は減少し(2+)となり、鏡検で異常なし。継続服用することさらに2週で、尿蛋白は消失、一般状況は良好で、継続的にステロイドを減量した。
(コメント:そこでステロイドの減量はうまくいったのか?減量中にネフローゼ症候群の再発は無かったのか?もっとも私が興味を持つところですが、?振声氏の本案には記載が有りません)
評析
加味当帰芍薬散は?氏の経験方であり、組成は、当帰10g 川芎10g 赤芍15g 白朮10g 茯苓15g 澤瀉15g 牛膝10g 桑寄生15g 車前子15g(包煎) 萆薢30gである。健脾利湿 活血化瘀の作用を有する。方中の白朮は健脾に、茯苓 澤瀉 車前子 萆薢は滲湿に、当帰 川芎 赤芍は活血化瘀に作用し、脾気の虚損を回復させ、水湿瘀血を化し、尿蛋白を減軽あるいは消失させる。
本方はネフローゼ症候群水腫消退後の蛋白尿不消や、急性糸球体腎炎回復期、慢性糸球体腎炎の、食欲不振、乏力、腰膝酸軟、下肢の重だるさ、脈象沈弱、舌体胖大、質暗、舌苔薄白など、脾虚挟瘀の中医弁証に属するものに使用される。
?氏は経験を根拠にして以下のような随症加減をする。
気虚が顕著な者には党参15g 生黄蓍15gを加え、陰虚が顕著であれば、生地10g 牡丹皮10gを加え、血尿を伴う場合には、生側柏葉15g 旱蓮草10gを加え、瘀血が顕著な場合には丹参30g 沢蘭10gを加え、湿熱が顕著な場合には、石葦30g 白花蛇舌草30gを加え、水腫が顕著な場合には、生黄蓍15g 防己30g 赤小豆15g