劉春圃氏医案 濁毒内阻案
尿毒症性肺炎の救命例
（当代名医臨床秘訣より）
Key Words：慢性腎炎 慢性腎不全 代謝性アシドーシス 腎性貧血 尿毒症 尿毒症性肺炎 漢方治療
患者：?某 23歳 女性
初診年月日：1980年1月8日
病歴：
患者は慢性腎炎の病歴を持ち、感冒によりいつも眼瞼、下腿に浮腫が生じ、尿蛋白は定性（２＋～３＋）程度であり、その都度、中薬と利尿薬を服用し症状は好転していた。1979年12月17日感冒発熱からすぐに小便の量が減少し、眼瞼下肢に浮腫が出現、某医院受診治療を受けたが、18時間の無尿となり、慢性腎炎腎病型、慢性腎不全尿毒症、代謝性アシドーシス、貧血、上気道感染症併発として入院した。半月の治療を受けたが、病状は制御不可能で、肺炎を合併し、劉氏医院を受診した。
入院時所見：
意識レベルやや低下、全身浮腫、顔面やや赤；発熱がすでに半月続き、毎日午後に体温が上昇、昨日は39.6℃、本日午前10時体温38.7℃；咳嗽 白痰 呼吸速迫、悪心あるも嘔吐せず、ここ3日食事は少なく、大便は出るが、尿は黄で少量である。舌淡紅、脈細数、一日尿量300～400ｍｌ、血小板10万、BUN80mmol/L（480mg/dl）,
CO2CP15.9mmol/L、Hb5.1g/dl 尿蛋白３＋
胸部レントゲン検査：右肺に浸潤影 肺浮腫を思わせる陰影。
治則：
清導解毒 化痰
処方：
知母10g 川黄柏10g 生地20g 敗醤草15g 蒲公英15g 生滑石30g 黄芩12g 全瓜蔞25g 大青葉15g 川貝母15g 前胡12g 杏仁10g 羚羊角粉１ｇ（頓服）、毎日1剤 2回に分けて温服する。
経過：
8剤服用後、Hb5.0g/dl BUN56.4mmol/L（338mg/dl） CO2CP17.06mmol/L
コメント：ヘモグロビン濃度は横ばいですが、BUNは480から338まで下降し、代謝性アシドーシスは若干改善してきました。クレアチニンの記載が無いのが残念です。まだ、日本の医療現場では、大慌てで血液透析に導入するレベルです。
経過続き：
上方を基礎として、弁証加減を行い、連続中薬治療を50剤行った。その結果、意識レベル精神状態は佳となり、体重増加、面色紅潤、浮腫は消退しきり、Hbは8.2ｇ/dl BUNは22.5mmol/L（135mg/dl） CO2CPは17.6mmol/Lと改善した。
室内での運動にて、特別な自覚症状が消失したために、病情穏定となり退院となった。
評析：
劉氏は慢性腎不全の患者は腎気不足が本であり、尿毒症性物質の上昇や尿量の減少を標と認識している。急即治其標、緩即治其本である。其標はつまり清導解毒であり、、後略。
ドクター康仁のコメント
お国柄と時代の違いを感じさせますね。病情穏定となり退院となった時点でのBUNは135mg/dlですから、いくら自覚症状が少なくなったからといって、日本では退院は許されないでしょう。結果論でいえばBUNは480から135へ減少、貧血改善、浮腫消退ですから見事ですね。肺炎も良くなったのですから名医列伝となるわけです。2週間も解熱しないために清熱剤として羚羊角が処方されたのです。厄介な高血圧や、或いは痙攣などが一時期出現したのかもしれません。
一般に肺炎などの重症感染症が長引けば、BUNは上昇します。蛋白異化作用の亢進のためです。感染症が落ち着けば、BUNも下降してきます。
ともかくも、
大人口を抱える中国ですから、党の幹部でもなければ、先端医療まではたどりつけないでしょう。庶民でも丁寧に治療して退院まで持っていくという漢方のすばらしさです。
銀行の引き出し制限が始まった？
仕事柄、中国に進出した米系の銀行を介して、材料費を支払うこともあるのですが、円安が進んだので、神戸市の支店で、ATMで日本円を手にしようとしたところ、今月18日から「当銀行の方針で1回20万円まで、1日30万円が限度となりました」と日本支店のオペレーターの話です。今時20～30万で盆暮れの土産にも、ましてや生活費も出ませんよ。
次元の異なる金融緩和などとアベノミクスは歌い上げていますが、庶民が金を下ろせないとは、キプロスと同じ事ですね。金回りを良くして、インフレターゲットまで設定した割には、そういう細かいところまで気配りが行き届かなかったという「うっかりミス」を演出している訳ですね。
国内の月末の業者への支払いも振込み限度額を超えるので、2回に分けてしなくてはなりませんし、銀行はその都度手数料を取るわけですから、割をくってるのは中小企業の私どもになるのです。
「当銀行の方針」とは金融庁の方針でしょうに！アメリカ追従もいい加減にしないといけません！質銀行（質バンク）、賢明なる読者にはお分かりですね。
2013/04/28（日） 記