李?皋氏医案 脾腎陽衰 陰濁上犯 蒙蔽清竅案
(?西中医 1992年 第11期より)
Key Words:慢性腎炎 尿毒症 漢方治療
患者:周某 58歳 男性 農民
初診年月日:1982年9月14日
病歴:
慢性腎炎を5年間患う。治療を転々と変えたが、病状は反復して癒えず。最近、眩暈が出現、悪心嘔吐、服薬が無効。
初診時所見:
全身浮腫、尿少、身体に異臭があり、煩躁、頭昏、時々嘔気、胸悶不食、倦怠感と四肢の冷え、面色萎黄、舌暗淡辺尖紅、苔?、脈沈緩。血圧21.3/14.7kPa(160/110mmHg)。
尿検査:蛋白(3+)RBC(+)WBC散見。
血液検査:BUN 20.1mmol/L(=121mg/dl) Cre 433.2μmol/L(=4.9mg/dl) 二酸化炭素結合力16.2mmol/L。
診断:慢性腎炎 尿毒症
中医弁証:証は脾腎陽衰 陰濁上犯 蒙蔽清竅に属する
治則:急速に温補脾腎 回陽泄濁 利水祛瘀の法を施す
処方:
制附子片、竹茹各10g 半夏 大黄各12g 党参25g 雲南茯苓 丹参 連翹各20g
益母草30g 肉桂6g 鈎藤15g 生姜適量 灶心土鶏卵大1塊。
経過:
服薬3剤にて症状は好転、再度服用するように言う。25剤に到って、頭がすっきりしてきて、悪心嘔吐がなくなり、食事ができるようになった。尿量も正常に近くなって、浮腫は消退した。血圧19.7/13.6kPa(148/102mmHg)、BUN、Cre、二酸化炭素結合力も均しく正常に回復した。その後、金匱腎気丸と参苓白朮散を合方加減、魚茶湯治療を結合併用して半年、病情はますます安定した。
評析
本案の患者は最近になって眩暈煩躁、悪心嘔吐、尿少などの症状が出現し、BUN Cre等の検査で、慢性腎不全 高窒素血症と診断され、脾腎陽気虚衰のために湿濁を化散できず、湿聚成瘀となり、水行が傷害され、悪循環の如くなり、終には湿毒瀰漫三焦の証となったものである。
李氏は附子片 肉桂 党参を用い温陽益気、化散湿濁させ、大黄 茯苓 益母草 丹参にて活血利水 導濁下行させ;鈎藤は清肝熄風、降圧醒竅に;連翹は清利三焦、清熱解毒に;半夏 生姜 灶心土は和胃降逆、温中止嘔に働く。嘔気が酷くて服薬できない場合には中西医結合治療の処置をする。
ドクター康仁のコメント
やや出来すぎの感を否めません。
灶心土と大黄の発想は「灶心土で尿毒素を吸着させ、大黄で泄濁する」ものでしょう。
評析には有りませんが、そのように思います。上海学派の晩蚕沙と大黄の組み合わせもその発想法であろうかと思います。
やはり、竹茹の清熱祛痰(清化熱痰)、止嘔、泄濁の効能は一目置くべきですね。
本案は、記載が不十分であり、対する評析も不十分です。
回陽救逆の参附湯を思い出されましたか?
人参の代用に党参を用い、附子の組み合わせになります。
大黄 牡蠣 蒲公英の灌腸治療も記憶に残っていますか?
魚茶湯の内容は不明です。評析にも説明は有りません。
川魚(鯉 鮒 雷魚)などに利水薬を加え、お茶(どんなお茶かはしりません)で煮詰める?お決まりの大棗などと煮込んだスープでしょうが、想像するだけで飲みたくありません。李氏の時代と異なり、現代中国では淡水魚はかなり汚染されているでしょう。
2013/04/25(木) 記