セイゴ11匹
九州はずっと晴れが続いている。朝晩は涼気が心地よい。土曜の朝、物置から釣竿を取り出し、国道10号線を下る。はぜ釣りなのだ。目的地は行橋市箕島。ここは春にマテガイ掘りをした所だ。この場所で釣りをするのは初めてだが、「はまさん」のグループがここではぜ釣り大会をするというのでそれに急遽加わった。張り切って8時に着いたが、干潮時刻でまだ誰も着ていない。浜が干上がっている。見るとアサリ掘りをしている人がいた。今の季節に貝堀とは、と思ったが、その人はプロらしい。無駄のない動きで、懸命に掘っている。釣り場所である防波堤の先端に座り込みながらじっと見ていた。潮が満ち始めたので貝掘りは終了。少なくとも10キロ以上と思われるほど大量のアサリを背負って悠々と引き上げた。9時前だった。
程なく、浜さん達のグループが到着。潮は満ち始めており、もう深さは50cm以上にはなっている。餌や仕掛けなどは浜さんがまとめて買ってくれていたので、支給してもらって、早速釣り開始。
干潮と満潮
はぜは小さいのに結構引きが強い魚で人気がある。今から11月くらいまでが旬である。小倉でも市の中心を流れる川で、毎年はぜ釣り大会が催され、参加者も多い。
釣り始めて1時間。懸命に頑張るのだが私だけ釣れない。他の人は順調に吊り上げているのに。
原因を考えると、釣竿が硬くて、はぜの引きが判らないのだ。セイゴを吊り上げた人もいるので、ターゲットをセイゴに切り替えた。遠くに投げるので、錘を大きくして、針のサイズをアップして2本針にした。(はまさんの指導だが) 実を云えば、ハゼだと小さいので料理するのが手がかかるのでセイゴの方が妻が喜ぶだろうと思ったのが本音だが。その甲斐あってセイゴが釣れだした。
その合間にキスやハゼも釣れる。天気も良いし、釣りも佳境に入って、いい気分でいると、携帯のコール音。会社からの連絡で、先輩のTさんの訃報の知らせだった。
Tさんは入社仕立ての頃、同じ技術課の先輩としてお世話になった人であり、妻との結婚がまとまった時にも、まず最初に妻と挨拶に伺った人だ。1年位前に胃の手術をして、やせていたのは知っていたが、春には復活してゴルフでお会いしていたのに。まだ70歳には遠いはずだ。
お通夜が今晩というので、あわてて魚釣りを終了して帰宅。準備を整えてF市の葬祭場へ。
OBのお通夜のためか、見知った先輩たち諸氏が大勢来ていた。中途で転職した人たちも多く、交友の広さがうかがわれた。ずいぶん久しぶりに逢った彼らは、昔とほとんど変わってなく、近況報告やら挨拶を交わした。まるで、葬式に場を借りた同窓会の雰囲気だった。
昔からの知人や先輩に逢えた事は嬉しいが、その機会が葬式なのはあまり良い気持ちはしない。しかしこれからは、このようなことが再々起こるのだろうなと思った。互いの健康と無事を確認しあい、まだまだ若いものには負けない、という先輩諸氏の姿を見て、私もまもなく仲間入りなのかなぁ、となぜか寂しくも感じて家路についた。
(左)お通夜から帰って。妻がフライに料理してくれていました。(右)1匹目のセイゴを釣った時。
釣果 :セイゴ11匹 ハゼ6匹 キス2匹