アンプ大名鑑(マーシャル編)

2015-04-26 21:23:21 | Music Life


「アンプ大名鑑(マーシャル編)」はマイケル・ドイルとニック・ボウコットの共著である「The History of Marshall The First Fifty Years」の翻訳である。マーシャルのオフィシャル・ブックという扱いで、工場見学などしたときにはお土産でもらえるそうだが、それにしては原著は誤記や誤植が多いらしい。そうであるならば、どうせ買うなら日本語版がよいということになるわけだ。この辺の事情は「Marshall Blog」を参照するべし。

この本はマーシャルの創設者ジム・マーシャルの伝記的な記述から始まる。その生い立ちやギタリスト達との交流などのエピソードから、この人物がとてもユニークで素晴らしい人物であることが伝わってくる。そしてこれらのエピソードの中にはもう一人のジム・マーシャル、つまりはジェイムズ・マーシャル・ヘンドリックスのことも出てくるのだが、これがとてもいい話で、ヘンドリックスもとてもいい人だったことがわかる。私としてはこれだけでも十分満足したのだが、一般的に言って、この本は読むものというよりはマーシャル好きが資料的に持っておくものだと思う。帯にも「必携」と書いてあるが「必読」とは書いてない。

中学生の頃の私は確かに「マーシャルの壁」を背にしてギターを弾きまくりたいと思っていたがそんな思いはどこへいったか、今となっては古くて小さいアンプを部屋の中で鳴らすのが好きになった。そういうわけなので、マーシャルの中ではカプリやマーキュリーといったアンプに魅かれるが、それらのアンプに対するこの本の記述には正直物足りなさを感じてしまう。こういう傍流の製品に対する偏愛のようなものが強く感じ取れたならば、私はこの本をもっと愛することができただろうと思う。

さて、フェンダー、マーシャルときたら、その次は何かということだが、Jim Elyeaによるかなり分厚いヴォックス本(Vox Amplifiers,The JMI Years)があるので、これが最有力候補となるだろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする