赤い宝石と呼ばれるサクランボの季節がやってきた。
『さくらんぼ』
さくらんぼに 空が映る
麦畑を駆けて来た風が映る
洟(はな)を垂らした子供が映る
坂道を登るお葬式が映る
酔っ払いが映る
円(まる)くなった世界が移る
さくらんぼに
さくらんぼが映る
-星野富弘さん-
さくらんぼは、さくらんぼの木になる、当たり前のことである。産地ではさくらんぼのことを桜桃(おうとう)と呼び、温度変化や日照時間など、気候の変化を受けやすく、大変デリケートな果実だという。昔、さくらんぼ酒を漬けてみた。甘いだけで味はいまいち。やはり梅酒には適わない。さくらんぼに目のない僕は、生で食べるのが一番美味い。それも軽く塩を振って食べるのが好き。
春にはその開花に一喜一憂した墨田公園のソメイヨシノは葉を繁らせ、川面を駆けて来た初夏の風に揺れている。あれほど美しく咲き誇って、我々の眼を楽しませてくれた桜の木も、今は誰も見向きもしない。
ふと見上げると、黒い実に混じって、真っ赤な実が揺れている。エッ、これはさくらんぼ?食べてみたが、酸っぱいだけで美味くない。さくらんぼはさくらんぼの木になる。桜の木になる実はなんだろう?それはただの桜の実?
画像はすべて、桜の木になった実です。それをさくらんぼとは呼ばないようです。