小説家、精神科医、空手家、浅野浩二のブログ

小説家、精神科医、空手家の浅野浩二が小説、医療、病気、文学論、日常の雑感について書きます。

天皇も当然、失言する

2014-01-27 18:33:14 | 考察文
天皇も人間だから、当然、失言する。

これは、明治天皇、昭和天皇、今生天皇、全てでいえる。

もちろん天皇の発言は、天皇が考えているのではなく、宮内庁の役人が作った作文である。それを陛下が棒読みしているだけである。

しかし、小さなアドリブ的なことまで、全ての発言を宮内庁の役人が作っているわけではなく、また、作ることも出来ない。

安岡力也は、肝癌、肝硬変で、つらい闘病生活を送っていたが、その中で、「友人、知人から頑張れ、と言われるのが一番、つらい」と言っていた。

これは何も、安岡力也に限ったことではなく、うつ病患者に、「頑張れ」という励ましの言葉は禁句なのである。むしろ、うつ病患者を苦しませるだけなのである。そんな基本的なことは全ての初歩的な精神科の教科書に書いてある。

もちろん私は精神科医であり、また、何度も、うつ病を経験しているから、実感として痛いほどわかるのである。

今生天皇も、震災の被災者たちを見舞った時、「どうか頑張って下さい」と言って、励ます、というか、慰めていたが、あれは間違った発言なのである。

家も家族も仕事もなくした人達には、頑張りようなどないのである。

これは、自分が、うつ病や、つらい経験をしてみれば、わかることである、し、また、一般の人では、うつ病にかからなければ、一生、わからないのである。

しかし、自分が、うつ病を経験していなくても、非常に心の優しい人や、相手の気持ちを察する能力の優れた人なら、別に精神科の本など読まなくても、わかる人もいるのである。

では、何と言ったらいいか。

「大変ですね」、「つらいですね」、「どうか力を落とさないで下さい」、「ご心中、お察し致します」

などの共感的な発言が正しい発言なのである。

あるいは、別に何か、言葉をかけなくてはならないわけではなく、黙って相手の手を握る、などの行為だけでも、いいのである。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする