「花を見て花を見ず」という教えがあります。
説明を加えると、ここに花が在るとします。
花は花を見た瞬間には花でも何でもありません。
花は見えませんし、色も分かりませんし、自分の好みに合う合わないという
感情も何も最初は起きません。
ほんのわずかの間に、九百回もの消滅が在ると仏教では説いています。
人間(にんげん)の目ではとてもその変化を見ることは出来ません。
ですから、「一切のものが何時も同じ状態であるということが有り得ない」
ということです。
ところが、私たち衆生は花を見た一瞬に自分の考えというものが働いて
その花とは全く関係なく「自分の判断材料の花」と見てしまうのです。
そして次から次へと「花とは無関係の感情」が出て来るのです。