
急斜面を下りながら考えていた。下っている斜面は急だとは言っても、たかが知れている。問題は最後の山から林道に降りるところだ。登る時もずり落ちそうになるのを何とか攀じ登ってきたけれど、降りるときはゆっくり降りれば滑り落ちる可能性が高い。
いつもは駆け下る感じだが、最近、山を歩いていないTMさんには厳しいだろう。考えた結果、雨が降った時に水が流れる枯れ沢を辿って下ることにした。このルートはジャケツイバラに覆われていていつもは避けていたのだが、今日はそのルートを選ぶしかないように思えた。
尾根筋から検討をつけて枯れ沢に向かって下って行く。枯れ沢に降りてTMさんが来るのを待っていると、その手前に咲いていた水色の小さな花を見てTMさんが顔色を変えている。



TMさんは最近はタツナミソウにのめり込んでいるらしい。兵庫県下で分布しているとされるタツナミソウの内でまだ見つけていない3種の中の一つ、ヤマタツナミソウに違いないというのだ。
僕の目には、自宅近くに咲いているものと同じようにしか見えず、笑いながらそのまま林道に降りるルートを探していた。でも、三方をジャケツイバラに囲まれて撤退を余儀なくされてTMさんにも元の尾根に戻ろうと伝えた。TMさんは先に尾根筋に戻って行ったのだが、その先でまた嬌声を挙げている。どうやら、別のヤマタツナミソウの株を見つけたようだった。
写真を撮り出したらしばらくは返事がないことは判っていたから、一人でルートを探して下ることにした。何とか林道に降りて歩いて行く。

ヤマボウシ

これはどっちだ?

イワガラミ
TMさんを呼ぶが返事がない。何度か呼んでいると斜面を下るTMさんの姿をようやく見つけた。林道からではジャケツイバラを避けて沢筋を下るルートを指示できないので、結局、登ってきた急斜面に誘導するしかなかった。
先回りして林道に降りる斜面を整えておいて、何とか無事に二人で林道に降りることができた。
さて、林道を2人で歩いていると、また、TMさんがジャケツイバラの葉の下を見て歓声を上げている。



ヤマタツナミソウ
この辺でTM氏のタツナミソウの同定のための写真の撮り方を教えて貰ったので書いておこう。
1.花の穂の真横からの写真を撮る

柄と花の角度が同定には大切
2.花を真正面から撮る

3.葉を上から大きく撮る

4.(おまけ)柄の毛の生え具合。密度、生える向きが重要。

1.から4.で、ヤマタツナミソウと同定できるらしい。タツナミ小僧の言う通り!絶滅危惧種ⅠA


眼の前の花の写真を撮ることに夢中になっていたが、一段落して周囲を見回すと・・・・


ヤマタツナミソウは沢山、芽生えていた。これから育って花を咲かせるのだろう。
TMさんはベニバナヤマシャクヤクの花が開いていなかったことなど忘れて大満足。林道を歩いて車に戻って行った。行きの道でも気が付いていたが、帰り道で写そうと思っていたもの。

ホタルブクロ

オカトラノオ



マタタビ
車まではもう少し。