夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

スポーツ大会

2012-05-23 21:22:55 | 教育
だいたい、どの高校でも、中間考査の終わった翌日は、校内スポーツ大会をしているところが多いと思う。

本校でも、今日実施した。

好天に恵まれ、爽やかなスポーツ日和だった。グラウンドに出て、太陽の光を浴びながら、生徒と一緒に体を動かしていると、この一週間ほど、ひたすらテスト問題作成と採点と勉強に明け暮れ、体内に蓄積した疲労物質やストレスなどの毒素が排出されていくような気がする。

競技の間、クラスの生徒たちが互いに応援している姿を見て、みんなで一つの目標に向けて力を合わせることができるのは、スポーツの良いところだな、と改めて思った。

わが担任するクラスは、入賞した競技もあったので、閉会式のあとのホームルームで、健闘を称え、ジュースをふるまってやった。

また明日からは、平常授業。一学期後半の生徒の成長が楽しみだ。

往事渺茫として…

2012-05-22 20:15:01 | 日記
中間考査は今日で終了。私の教科担当のクラスは、今日がテストのところが多かった。

ノートや提出物の点検の後で、夕方から採点作業に入る。ここ数年の生徒は、ノートの取り方から指導しなければならない者が多く、コメントや再提出の指示などを書き添えているうちに、思いの外時間がかかってしまった。

現代文のテストは、珍回答が少なく、これは問題の精度が高かったと喜んでいいのかもしれないが、採点の辛気くさい作業の疲れを癒してくれるような、笑える解答がちょっとはあってもいいじゃないか、と余計な感想を持つ。

ただ、珍回答ではないが、漢字の問題の採点をしている中で、

  黒部〔キョウコク〕を訪れる。

の解答として、正解の「峡谷」でなく、「郷国」を書いている生徒が何人かいて、『白氏文集』への連想を誘われてしまった。

  生涯共に寄す滄江(そうこう)の上(ほとり)
  郷国は倶(とも)に抛(なげう)つ白日の辺り  
  往事渺茫として都(すべ)て夢に似たり
  旧遊零落して半ば泉(せん)に帰(き)す
  酔(ゑ)ひの悲しび、涙を灑(そそ)く春の盃(さかづき)の裏(うち)
  吟の苦しび、頤(おとがひ)を支(ささ)ふ暁燭(げうしよく)の前  (白氏文集卷十七)


  お互いの生涯は旅の明け暮れだ。
  二人とも生まれ故郷は白日の辺りに捨ててしまった          
  昔のことは果てしなく遠くなり、すべては夢のようだ。
  昔の友達は落ちぶれて、半ばは黄泉(よみ)に帰ってしまった。
  酒に悲しく酔っては、春の盃の中に涙をこぼし
  詩を苦しく吟じては、明け方の灯の前で頬杖をついている。


この漢詩は、『源氏物語』「須磨」巻に引用されており、そういえば、大学時代に、源氏物語ゼミでその場面を取り上げたとき、白居易の詩についても話題になったっけ、と採点の手をとめて、しばし思い出に耽ってしまった。

あの頃、毎週火曜日の夕方に研究室に集まって、『源氏物語』を読み味わい、またその魅力を語り合った同好の士たちは、今でも元気にしておられるだろうか。当時のことを思い出すと、鮮明なようでいて、半ばは夢に似ているような感じもする。

中間考査中…。

2012-05-21 22:38:53 | 日記
ここのところ毎日、試験問題を作成して、採点して、仕事や勉強の本を読んで、を繰り返している。眼を酷使しているなあ、ということを感じる。そういえば、子供の頃から視力だけはよかったのに、ここ2、3年でグッと悪くなった。(それでも1.2はあるので、本当に眼が悪い人からは叱られるのだが、以前は常に2.0を誇っていたのだ)。

藤原定家が、『新古今集』の選歌作業のときに、しばしば「目が大いに腫れた」とかいうことを日記に書いていて、昔は「この人はすぐに泣き言を言うなあ」と半ばあきれていたのだが、実際自分も年が近くなってくると、決して他人事ではないことがわかってくる。

今日の試験監督中、学級文庫に入れておいた『面白いほどよくわかる クラウゼヴィッツの戦争論』を久しぶりに読む。図解本なので、高校生にもわかりやすい内容なのだが、戦略的思考と常在戦場の心構えがどれだけ大切かがよくわかり、弛みきった日常精神に活を入れてくれる。

特に、クラウゼヴィッツの、「理想と現実との食い違いを克服するものは自信である。作戦方針と眼前の事象とのあいだには往々にして大きな間隙があるが、自信があればこれを埋められる」という言葉が印象に残った。

高校生に限らず、若者は、たとえ意欲をもって始めても、思うような結果が出ないと、すぐにやる気をなくしたり、あきらめたりしてしまう。身につける価値のあることは、最初から簡単にうまくいかないことの方が多いし、何度か失敗して自分なりにこつをつかんでいくことが大事だったりする。しかし、成功体験の乏しい若者の場合、続ければ成果が出ることを信じられず、「先生の言う通りにやったのに、だめだったじゃないか。どうせオレなんて、やったってムダなんだよ」という風に努力を放棄してしまいがちである。

それでも、生徒に、何が理想型(完成形)で、今彼がどこでつまづいていて、こういう手立てであきらめずに続ければ、必ずできるようになる、と指導できるスキルと情熱は失ってはいけないと思う。やればできるのにやらないのは自分を貶めていることになるし、できればきっと自分の自信につながる、と言えるように教えていきたいと思う。

自分自身も、常に難問や難題に挑戦し、それを克服できるようでいよう。





「静温」展 観ました。

2012-05-20 22:38:56 | 日記
職場の方に勧められて観に行った。

表町のエスプリ・ヌーボーというギャラリーが会場だったが、行くのはもちろん初めて。

現代アートはわからないもの、という苦手意識があったのだが、行ってみたらとてもよかった。

美は心で感じるものだ、というのがよくわかった。


最初のうちは、抽象的に描かれた絵から、元の風景を頭の中で再現しようと試みていたのだが、ムダな企てだということをすぐに悟った。

絵画に関しては全くの素人なので、どのように描いているか、技法もわからないのだが、「雨ささやく」とか「紅風」(タイトルはうろ覚えなので、違ってるかも…)のように、淡く美しい色彩で描かれたものが印象に残った。

このように、心の中に思い浮かぶイメージを形象化できるようになるためには、どれだけの修練が必要なのだろうか。清澄な精神状態と高度の集中力の賜が絵画であることを、改めて思い知らされた。

今まで、美術は好きだけれども、評価の定まったものばかりしか観てこなかったので、もっと現代作家の作品も観ていきたいと思った。

どんな飛行機?

2012-05-18 22:57:36 | 雑談
先日のこと、いつものように、空き時間に英単語テストの採点をしていたら、

  Most of the weight of an airplane when it takes off is from the fuel.

    航空機が離陸するときの重量のほとんどは(   )によるものだ。

の答えは、「燃料」が正解なのだが、生徒の珍解答が続出。


  ×「エンジン」……どんな構造の飛行機なんだ。

  ×「自重」……答えになってないじゃないか。

  ×「荷物」……どんだけ荷物を積み込んだらそうなるんだ。

  ×「浮力」……物理のH川先生が見たら怒るぞ。

  ×「空気」……もはや何をか言わんや。


終礼で生徒にテストを返却するときに、紹介したところ、しばし爆笑タイムとなった。ちなみに、最後の解答をしたO川君は、その後、かなり笑われていた。