陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

金正日総書記の体調不良か

2007-06-01 18:52:00 | 朝鮮半島
 BDA資金移管問題は、現在何の進展も無く推移している。六カ国協議合意など何処かへ飛んでしまったようだ。結局は、ライス/ヒル組が先を読まないままに1月の「ベルリン秘密交渉」を行い、こうした事態をもたらしたと言える。小ブッシュ大統領も4月末の日米首脳会談でそれを認めていた。共同通信によると


資金移管、不手際認める 米大統領、安倍首相に

 ブッシュ米大統領が4月の日米首脳会談で安倍晋三首相に対し、マカオの銀行、バンコ・デルタ・アジア(BDA)にある北朝鮮関連資金の移管問題について「しくじってしまった」と述べ、他の金融機関を経由した送金にこだわる北朝鮮の出方を読み切れず、対応が後手に回った米政府の不手際を認めていたことが31日、分かった。複数の日米関係筋が明らかにした。

 2月の6カ国協議で合意した北朝鮮の核放棄プロセスは、移管問題が解決せず停滞が続いている。大統領の発言は、閉塞状況の「根源」となっている移管問題のミスを米政権のトップが認めた異例の内容といえる。

 安倍首相は会談で、ブッシュ政権の対北朝鮮政策が対話路線に転換したことについて、日本人拉致問題を念頭に「日本国内に懸念の声がある」と指摘し、北朝鮮と安易に妥協しないよう暗にけん制。これに対し大統領は、米外交当局にもそうした見解を伝えてほしいと語ったという。(共同)

2007/05/31 18:30 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/200705/CN2007053101000697.html


 この資金問題が解決しないことには、北朝鮮は核施設凍結・IAEA査察を受け入れないし、石油援助なども行われない。困るのは北朝鮮なのである。日本としては、拉致被害者の苦悩は続くのであるが、憲法上武力による拉致者奪還は出来ないし、経済制裁を強める外に今のところ手は無さそうである。

 一方、金正日氏にしてみれば、BDA資金問題が解決しないと、ドル資金の国際的運用が出来ないから相当に心理的な圧迫を受けているだろう。それと関係があるのかどうかは分からないが、彼の体調不良との噂が先月初めから飛び交っている。これについて、産経新聞は次のように伝えている。


金総書記、健康悪化? 韓国メディア「情報、信頼性高い」
5月29日8時0分配信 産経新聞

【ソウル=久保田るり子】韓国メディアは28日、北朝鮮の金正日総書記(65)の健康悪化説を伝えた。有力紙「朝鮮日報」は情報当局者の話をして、金総書記の糖尿病や心臓病が悪化しているとの情報があり、政府が確認作業中だと伝えた。同様の情報を米当局も入手しているという。健康悪化説は過去にもあったが、今回は「信憑(しんぴょう)性が高い」(当局者)という。

 北朝鮮情報筋は同日、産経新聞に対し「中国から入った情報のようだが、急変するような話ではないと聞いている」と述べた。

 金正日総書記は最近、公式行事に3人目の夫人との息子、正哲氏(25)や正雲氏(23)を同伴しており、後継者選びへの動きではないかとの観測も出ている。韓国の聯合ニュースによると、2人は昨年4月まで軍幹部養成機関である金日成軍事総合大学で軍事学を学んだという。

 金総書記は一昨年末に後継者論議禁止を指示し、後継者問題には慎重と伝えられた。しかし息子らを行事に同行し始めたため、こうした行動は自らの健康状態と関係しているのではないかとの見方が浮上してきた。今年に入って金総書記の公式行事への出席が昨年の半分近くに減っていることも、健康悪化説に拍車をかけている。

最終更新:5月29日8時0分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070529-00000022-san-int


 このニュースは、米国のマスコミでも取り上げられていたようで、何かが北朝鮮で起こっているのかも知れぬ。金正日氏は65歳、荒淫と深酒で以前から健康に問題のあることは指摘されていた。また、後継者に関しては、2年前に議論することを封じている。彼の体調不良が深刻であれば、北朝鮮独裁体制にひびが入るのは当然だ。

北朝鮮、世襲失敗なら内戦も=金一族、「混沌たる状況」-米専門家
2007/05/08-14:33 時事通信

 【ワシントン8日時事】米国防総省傘下の研究機関、海兵隊大学の朝鮮半島情勢専門家ブルース・ベクトル准教授は8日までに、北朝鮮の金正日労働党総書記の後継問題に関する論文をまとめた。ベクトル氏はこの中で、金総書記が後継者への世襲プロセスをうまく推進できなければ、北朝鮮の不安定化を招き、内戦状態に陥る可能性すらあると予想。北朝鮮国内にとどまらず、地域諸国の政治、軍事、経済面に否定的影響を及ぼしかねないと警告した。特に米国にとっては、北朝鮮の保有する大量破壊兵器の管理が最大の課題になると指摘した。

 米政府系の研究者が金総書記の後継問題の影響をめぐる論文を作成、公表するのは異例。金総書記が65歳を迎えながら、後継体制の見通しが不透明な中、米外交・軍事専門家の間で体制不安定化を念頭に置いたシナリオ分析が活発化していることを意味する。

 ベクトル氏はこの論文で、後継問題に絡み、金総書記の義弟、張成沢氏の「粛清」情報や軍高官ら多数の亡命説が一時流れたほか、金総書記の長男、金正男氏の暗殺未遂事件が報道されたことを紹介。金総書記一家をめぐって不穏な動きが伝えられていると指摘した。また、2005年以降、金総書記の2男、金正哲氏が後継者に選ばれたとする「うわさ」があるものの、これを打ち消すような情報もあるとし、「金一族をめぐる状況は混沌(こんとん)としている」と現状を分析した。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200705/2007050800543&rel=y


 北朝鮮の金正日独裁体制が緩めば、クーデター勃発、内戦、中共軍の侵入、傀儡政権樹立、韓国との併合と進むのではないか。日本もその時までには、在日特権の廃止など南北・在日朝鮮人の在り方に決着をつけなければならぬ。

(追記:6月1日)

 この情報が伝えられていたのを忘れていたので追記。

ロシアが北朝鮮への武器・ぜいたく品などの輸出禁止
5月31日1時37分配信 読売新聞

 【モスクワ=緒方賢一】ロシア大統領府は30日、北朝鮮に対する武器、軍用機材、「ぜいたく品」の輸出を禁止した、と発表した。

 国連安全保障理事会が2006年10月、核実験を行った北朝鮮に経済制裁を発動したのを受けた措置で、ロシアが具体的な制裁を発表したのはこれが初めてだ。

 この時期にロシアが対北制裁に踏み切った理由は不明だが、北朝鮮に核放棄を促す目的など、何らかの政治的狙いが背景にあるとみられる。露朝間では最近、北朝鮮が旧ソ連時代から抱える約80億ドルの対露債務返還が改めて浮上。今年3月、北朝鮮側が債務の帳消しを露側に要求したと言われる。

 プーチン大統領が制裁を発動したのは5月27日。輸出禁止の品目には、戦車や装甲車、軍用のヘリ、航空機をはじめ、大量破壊兵器や弾道ミサイル開発に関連する物資と技術が含まれる。また、禁輸品目には貴金属、高級時計、香水、ブランデー、ワインなどのぜいたく品も加わった。

最終更新:5月31日1時37分
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070530-00000116-yom-int


 ロシアのことだから、7ヶ月も経過した今頃になって安保理決議に従う経済制裁に踏み切るのは何か裏があるのだろう。金正日氏にとっては、また悩みの種が増えた。将官達や高級官僚に言うことをきかせるための「ぜいたく品」が手に入らないと彼の命が危なくなる可能性大である。
コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 李登輝氏の来日を歓迎 | トップ | ダルフール虐殺問題と北京オ... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (金子吉晴)
2007-06-02 00:09:49
>日本としては、拉致被害者の苦悩は続くのであるが、憲法上武力による拉致者奪還は出来ない
 これは間違いです。憲法学会では憲法9条1項の解釈は限定放棄説が通説です。
 つまり、ここで放棄されているのは、「国際紛争を解決する手段としては」ですが、これには不正戦争のみが含まれ、自衛戦争、制裁戦争等は含まれないと解されています。現状は憲法問題ではなく、単に日本政府が政治的判断から領土領海外での武力行使を避けているのに過ぎません。
返信する
現状では武力奪還不可能 (茶路主)
2007-06-06 16:11:36
金子吉晴様

 コメントを有難うございます。
 9条1項は、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」となっているわけですが、私は文字通りに読んでいたので、北朝鮮に特殊部隊を侵攻させる事は出来ないと思っていました。
 勿論、現政権を含めて政治的判断からやる気の無いことは明らかです。領土侵犯の竹島問題さえ、あの体たらくですから。
 早く憲法が改正され、普通の国家のように国民を守る体制の出来る事を願っています。
返信する

コメントを投稿

朝鮮半島」カテゴリの最新記事