陸奥月旦抄

茶絽主が気の付いた事、世情変化への感想、自省などを述べます。
登場人物の敬称を省略させて頂きます。

ダッチ・ロールするJALの再建策

2009-10-30 05:04:33 | 国内政治:内閣
 JALが9月に提出した独自再建案を前原国交相は認めずに、「JAL再生タスクフォース」(専門家チーム)による再建計画を検討させていた。以来1ヶ月が経過、再生タスクフォースは実質国営化に近い「企業再生支援機構」による再建方式を選んだ。言ってみれば、彼らは具体案を何ら示さず、「企業再生支援機構」へ問題を丸投げした。

 「企業再生支援機構」には、これまで企業再生の実績が全く無いのだが、JAL再建に関して

(1)8500億円の長期有利子負債圧縮
(2)8000億円に及ぶ企業年金処置(積み立て不足3140億円)
(3)1万人以上のリストラ実施
(4)不採算路線の廃止と減便
(5)エネルギー損失の大きい機材売却

を立案して行く事になる。公的資金による資本増強(税金投入)あるいは銀行へ債権放棄させて、有利子負債を減らすためには企業年金の圧縮が不可欠。だが、JAL労組は財産権侵害だと反対する構えだ。

 これは、5月のGM問題と構図が類似している。税金を投入しても、それがJAL退職者の高額年金補填に使われたら、問題解決は先送りされるだけだ。加えて、国民の不満は大いに高まる。それなら、不健全な企業年金を抱えるJALを一旦潰し、新JALを立ち上げるとの考えが再度出るかも知れない。

 労組は、民主党の支援団体である。民主党の中には、労組出身者も多い。それ故、「企業再生支援機構」によるJAL再建策立案は簡単にまとまらず、企業年金処置を巡ってなお二転三転するだろう。だが、JALは年内に1800億円の運転資金を調達しなければならないので、国民の不満を押し切ってでも公的資金(=税金)投入が行われることは間違いあるまい。


【日航再建】事実上の国の管理下で再建目指す
2009.10.29 20:19

 日本航空の経営再建をめぐり、前原誠司国土交通相は29日、官民共同出資の「企業再生支援機構」の活用を柱とした再建方針を表明した。前原国交相は日航に支援機構への支援依頼を指示。これを受け、日航は支援機構に再生支援を依頼する事前手続きを始めた。日航は支援機構を通じた公的資金による資本増強や政府保証付き融資など、事実上、国の管理下で抜本的な経営立て直しを目指す。再建にあたっては企業年金の減額が不可欠で、強制的な減額を可能にする特別立法も検討されている。

 支援機構は今後、独自の資産査定などを行ったうえで支援の可否を決める。支援が決まれば、日航への出資や融資を実施し、年内にも新たな再建策をまとめる見通しだ。

 再建計画を検討してきた専門家チーム「JAL再生タスクフォース」は29日、「再生は可能」とする再建案を国交相に提出。これを受け、前原国交相は会見し「(日航再建は)十分に可能」との認識を示した。

 政府は日航再建に向けて前原国交相を本部長とする対策本部を設置する。当面の資金繰りを考慮し、厚遇が指摘される退職者らの企業年金の削減などを条件として日本政策投資銀行などが実施する約1800億円のつなぎ融資に政府保証を付けるとともに、歴代経営陣の責任追及も進める。

 日航の再建には公的資金の投入に伴う資本増強が必要となるが、政府内には根強い反発がある。国交省などは公的資金投入に伴う国民負担を軽減するため、特別立法を検討。前原国交相は同日、長妻昭厚生労働相と会談して協議を行った。
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/091029/biz0910292023023-n1.htm

(参考)

 JALの経営再建を前原国交相はどのように取り扱うのか
 http://blog.goo.ne.jp/charotm/e/ea9d8b520029ea06115a6b2a892b8890

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